研究課題/領域番号 |
18K02682
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
桂 直美 東洋大学, 文学部, 教授 (50225603)
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研究分担者 |
荒尾 岳児 東京音楽大学, 音楽学部, 准教授 (10378284)
北澤 俊之 東洋大学, 文学部, 教授 (70553741)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 美的教育 / 教師教育 / 音楽教育 / 美術教育 |
研究実績の概要 |
基礎的・理論的研究と実践的研究のうち、後者については、本年度は予定していた海外研究者の招聘ができなかったため、教師教育におけるワークショップの授業実践研究を次年度に送ることを余儀なくされ、主としてオンラインで実践され得る美的教育の教材研究やマキシン・グリーンの芸術教育におけるデューイの芸術哲学の影響についての見直しを行うことに限定せざるを得なかった。 しかし理論的研究については、グリーンの教育哲学を、デューイの芸術論との関わりに加えて価値に関する論考や、ネオプラグマティズムの思想との関連、またアイスナーとの関係においても整理し直した。特に、デューイの「想像力」の概念に着目しことで、グリーンの美的教育プログラムにおけるカリキュラム構成枠組みを、芸術教育のみならず人文科学や学校教育における諸教科領域にも敷衍すべきカリキュラム構成論として、整理しなおすことができ、その成果を学術論文の執筆を通して公にした。 また、70年代の「再概念主義」者の議論との関連においてグリーンの主張を見直したことで、学校教育カリキュラム研究の支配的な枠組みに対するオルターナティブを志向する理論研究に、グリーンが深い影響を与えたことを明らかにすることができ、美的教育プログラムが教師教育に対してもつ固有の意義を再評価できたと考える。この成果を、日本国内での大学での教員養成におけるアクションリサーチに繋げていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画では、今年度は本研究の最終年度の予定であったが、COVID19の世界的な拡大の影響により、海外からの研究者の入国が不可能となり、予定された共同研究を再度延期することを余儀なくされた。加えて、対面での授業研究を行うことも極めて困難であった。これらの実践的研究を、次年度に条件が許す範囲で実施して、理論的研究の成果をそこに反映していくことが課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
基礎的・理論的研究の成果については、従来芸術教育領域において一般的に理解されてきた「美的教育」の系譜との違いを明確にして、国際学会等においても発表していく予定である。 また、海外研究者の招聘については、2022年度の秋に再度計画をしている。教員養成課程の学生において、学生を生徒役にしたワークショップを実践することを通して、教師の実践的専門知のあり方を研究するとともに、授業者として成長するための、教員養成課程における美的教育の固有の課題を、実践過程の分析を主要な方法として析出する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の世界的な拡大の状況にあり、海外からの研究者の入国が不可能であった。そのため、予定されていた教員養成課程におけるアクションリサーチを再度延期せざるを得なかった。本研究の期間を1年延長し、2022年度中に、海外研究者招聘のための旅費、人件費、謝金として執行する予定である。
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