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2018 年度 実施状況報告書

学習指導要領と親和性の高い金融教育プログラムの構築と教員養成へのアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 18K02690
研究機関滋賀短期大学

研究代表者

小山内 幸治  滋賀短期大学, その他部局等, 教授 (40204177)

研究分担者 松浦 義昭  金沢大学, GS教育系, 講師 (10377377)
西尾 圭一郎  愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (20453368)
北野 友士  桃山学院大学, 経済学部, 准教授 (90532614)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード金融リテラシー / 金融教育 / 金融教育カリキュラム / 金融教育リテラシー・マップ
研究実績の概要

平成30年度は、これまで申請者らが科研費を得て行った大学生に対する大規模調査で蓄積した研究を基に、高校卒業段階で不足している金融リテラシーについて、既存教科でどの程度カバーすることができるかを検討した。対象科目は初等・中等教育における社会科と家庭科、数学(算数)科である。
さらに次の2つの課題を研究の対象とした。一つは、大学生の金融リテラシーに影響を及ぼす各要因は、金融リテラシー得点を構成するどの金融リテラシー項目にどのような影響を及ぼしているかを考察したものである。初等・中等教育段階において「算数・数学が得意だった」という意識をもっている学生は、直接的に数的処理を伴う問題では正解比率は高いが、そうでない設問では、正解比率は高いとは言えないことがわかった。「国語が得意だった」という意識をもっている学生は、得意と答えた学生よりもそうでない学生の正解比率が高い。「現代社会や政治・経済などの社会科の科目が得意だった」という意識をもってる学生は、幅広い分野の設問で正解比率が高いことがわかった。
もう一つの研究は、日本における「金融リテラシー・マップ」の小学生に対する金融リテラシーを参考に、文部科学省が教育要領の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」との関連を考慮しながら日本の幼稚園・保育所における金融リテラシー教育用の教材およびプログラムを作成した。
今回作成された4種類の教材の目的は次のとおりである。
①資源の無駄遣いを意識させる。それが、お金の無駄遣いにつながっていることを例示する。②ものを大切に取り扱う、財産を守る。③集団における最大の効用を得るための予算の使い方を考える内容。お金の使い方になれる。④お金の役割や性質についてやさしい具体例にふれる。現在はこれらの教材を使用して、幼稚園児対象に授業を行い、態度変容などの調査を行っており、今年度中に論文としてまとめられる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね当初の計画どおり進んでいる。

今後の研究の推進方策

令和元年度は、既存教科で対応できる金融リテラシーに関して、教育段階ごとにどのような教育が可能となるのかを検討し、金融教育プログラム構築と教材開発を行う。ここでは実現可能性を重視するため、実際に行っている教育の内容をもとに、大幅な変更が必要ない形で金融リテラシーを向上させる仕組みを考える。また、既存教科でカバーできない内容については、総合的学習の時間を使って行う補完的な金融教育プログラムと教材開発を行う。実際に教材を作成する際には現場の教員にも協力を要請する。また、この段階で、既に社会科への金融リテラシー導入を実施しているアメリカでの経験をヒアリング調査することで、実際に生じる問題に対する事前の対処策を講じておく。さらに、Jump$tartでは、金融教育の波及効果を考え、教材開発よりも、教員の研修に力を入れていることが昨年の調査で判明したため、アメリカにおける、より具体的な教員の研修方法について調査するとともに、教育現場の教員の意見も聴取し、日本における教員へのアプローチに反映させる。同時に、「金融教育が可能な教員養成プログラム」を構築する。
最終年度となる令和2年度には、作り上げた教育プログラムを、金融教育に積極的な学校現場の先生の協力を得て、実験的に実施し、その改善点や、より重点化してほしい点などを明らかにして、教育プログラムや教材のブラッシュアップを図り、教材マップも作成する。教育プログラムの中に金融教育を取り入れるための補助的な教科書や資料書を出版ないしはウェブ上での公開を行う。
教育プログラムの中に金融教育を取り入れるための補助的な教科書や資料書を出版ないしはウェブ上での公開を行う。実際の取り組みについても、学会で報告し、現職の教員が活用できるように成果発表を行っていく。また、教員への教材配布、講習会など、「金融教育が可能な教員養成プログラム」も実施していく。

次年度使用額が生じた理由

研究は予定通り進んだが、一部予算の執行内容について、次年度に支払う必要性が生じたため。

備考

金融経済教育およびLayeringがもたらす国民とのコミュニケーションの改善
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/concours_kyoin/2018/
第15回金融教育に関する小論文・実践報告コンクール 奨励賞受賞

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] イングランド銀行によるコミュニケーション戦略の現状と課題2018

    • 著者名/発表者名
      北野友士
    • 雑誌名

      経済経営論集

      巻: 60巻第1号 ページ: pp.46-57

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 地方創生に向けた地域金融の役割 ―経営者教育の持つ可能性―2018

    • 著者名/発表者名
      北野友士・山崎 泉
    • 雑誌名

      個人金融

      巻: 13巻2号 ページ: pp.71-82

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 金融リテラシーに対する影響要因の分析について2018

    • 著者名/発表者名
      小山内幸治・北野友士・西尾圭一郎・松浦義昭・氏兼惟和
    • 学会等名
      経済教育学会
  • [学会発表] 事前調査を踏まえた大学における金融教育の実践とその効果測定2018

    • 著者名/発表者名
      西尾圭一郎
    • 学会等名
      経済教育学会
  • [学会発表] パーソナルファイナンス教育が学生の期待形成に与える影響 ―イングランド銀行のコミュニケーション戦略を参考として―2018

    • 著者名/発表者名
      北野友士
    • 学会等名
      日本FP学会
  • [学会発表] Layered Communicationが学生の期待形成に与える効果の検証 ―イングランド銀行のコミュニケーション戦略を参考として―2018

    • 著者名/発表者名
      北野友士
    • 学会等名
      日本金融学会

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公開日: 2019-12-27  

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