研究課題/領域番号 |
18K02692
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
森 良一 東海大学, 体育学部, 教授 (50515210)
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研究分担者 |
渡邉 正樹 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (10202417)
植田 誠治 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (90193804)
西岡 伸紀 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (90198432)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 保健教育 / 課題解決能力 / 精神疾患 |
研究実績の概要 |
本研究は、学校における保健教育において、健康に関する課題解決能力に関わる要素を明らかにし、それに基づいた理論的なフレームワーク(カリキュラム)を構築することを目的としている。 初年度は、保健教育の関する先行研究を調べるとともに、他領域の課題解決学習の動向を探ることができた。また、特に医学教育などで取り入れられている課題基盤学習を保健教育における思考力、判断力、表現力等の育成に活用できるのではないかという知見を得られた。さらに、東京や新潟の先進校の授業を参観し教員と課題解決への取組について議論するとともに、連携協力者や研究分担者と協議し、健康に関する課題解決能力の要素について検討することができた。 本年度は、当初、特定の健康課題に絞らず、健康課題に関する質問紙調査を実施する予定であったが、調査項目を検討していくと健康に関する課題が多岐にわたるため、調査項目が膨大になることが分かった。連携協力者等と協議を重ねることで、課題を特定したほうが要因がより明確になり、カリキュラム作成もスムーズにできるのではないかという考えに至った。その際に、現代的な健康課題として重要視され、若い世代に多い精神疾患を健康課題として特定し、調査を行うこととした。先行研究を調べていくと、メンタルヘルス教育においては、課題解決の結果として知識、態度、行動を評価しているものがあることが分かった。そこで、これらの要素に健康課題解決能力の要素と仮定し、対象群をおいた授業研究をすることで明らかにすることとした。本年度は、知識、態度、行動を要素とした質問紙を作成するとともに、精神疾患の課題解決に関する授業づくりを検討することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、授業研究を伴わない調査を実施する予定であったが、保健教育に関してRCTなどを取り入れたエビデンスに基づく研究に挑戦しようと考えたため、質問紙を大きく変更した。また、知識、態度、行動の要素を指導するための教材を作成するのに時間を要した。さらに、授業を通しての研究となるので、協力校への説明と理解や倫理への十分な配慮等時間をかけて丁寧に対応することとなった。来年度は、予定通り授業研究を実施するとともに、その結果を踏まえ、保健教育カリキュラム開発を試みる。
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今後の研究の推進方策 |
健康課題解決能力を育成する保健教育の理論的フレームワークを構築するため、中学校を協力校として設定し、2019年度に作成した質問紙を使用して、RCTを取り入れた介入研究を実施する。その際、新型コロナウィルス感染症による学校現場の状況を踏まえ、協力校と連絡を密にし、その実施に向けた時期と教材を含めた授業内容について検討を進める。さらに、研究結果を論文化し、公表できるように準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、介入研究を実施するための調査票の検討を中心とした。介入研究は次年度に実施することとなっため、調査票の印刷、郵送、データ処理(業者へ依頼)、調査協力者への謝礼等の費用が次年度に使用される。次年度は、本調査の分析をもとに論文化するとともに、健康課題解決のための学習のフレームワークの作成を実施する予定である。
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