本研究は、産学連携に関する日本と韓国の①政策の変遷、②産学連携プロジェクト、③産学連携研究の成果、④教育効果、⑤産業界への貢献度の比較研究を通じて、大学等の研究成果等に基づくイノベーション発現モデルの違いを明らかにし、それをもって、産学連携における技術移転プロセス、インターンシップ等を活用した高度産業人材教育手法について論じることを目的としている。研究期間延長後の最終年にあたる令和4年度は主な研究調査並びに研究結果発表として以下のことを行った。 1.令和元年に行った全国調査の追加調査の実施(令和4年12月) 2.産学連携学会第20回大会(熊本大会)において研究成果発表(令和6年6月) 3.韓国産学共同学会と日本の産学連携学会の共同による日韓ワークショップ(令和5年3月21日~22日)において研究成果の発表 本研究開始からこれまでの研究調査及び研究成果発表を通じて以下のことを明らかにした。韓国は、日本と比較して産学連携の歴史が新しく、また経済規模も大きくないにも関わらず、極めて短期間に契約に基づく外部からの共同研究収入,特許等のライセンスに基づく技術移転収入の双方において,韓国の大学が日本の大学を上回ることになった状況を明らかにした。この産学連携実績の急成長の考えられる要因として、産学連携の担い手となる大学組織体制の違い、公的研究開発投資の違い、学生を企業等に一定期間派遣するインターンシップの実施態様の違い、大学の研究シーズを活かしたスタートアップ企業輩出に関する違い等があることを統計データ、独自のアンケート調査及びヒアリング調査を通じて考察した。
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