本研究は,終戦後,昭和20年から占領が終わる昭和27年頃までを中心に,わが国における学生の位置づけ,とりわけ,大学運営への発言権にスポットを当て,それがどのように議論されてきたのかを調査するものであった。 これまでに実施したこととして,まずは戦後改革についての全体的な理解を深めることが重要であると判断し,学生の地位に限らず,戦後教育改革期の文献を読み進めた。これにより,研究関心の絞り込み,軌道修正も含めて,本研究テーマをよりクリアに捉えられるよう努めた。 GHQ文書についても蒐集に取り組んできたが,残念ながら,核心に迫る文書,記述を発見するには至っていない。GHQ文書については,今年度は,一昨年度からのコロナ騒ぎの為,自由に出張することが難しくなり,この作業が滞った。このため,昨年度の時点で,必ずしもGHQ文書の読解に固執するのではなく,もっと視野を広げ,昭和20~30年代にかけて,学生という存在が我が国の高等教育制度の中で,どのように議論されてきたのかを把握するということに,研究戦略を切り替える必要も感じた。また,海外出張については,昨年度の報告書でも述べたとおり,今,直ちに出張する必要があるかどうか見直しを検討した。その結果,コロナ騒動のこともあり,当面は見合わせるか,あるいは中止して,研究計画全体を再考することも考えていた。 その後,やはりコロナ騒ぎなどの理由により,順調に計画を進めることが困難と判断し,研究を断念することとした。
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