本研究は、国際共同学位の付加価値・市場価値に関する研究を行うものであるが、具体的には次の3つの目標を設定して行ってきた。①世界大学ランキングに基づき、トップ500大学(非英語圏の大学254大学)について、特に欧州の諸大学における国際化戦略と国際共同学位プログラムの開発状況とを調査し、国際的な共同学位及びEMJMD(エラスムス・ムンドス共同修士学位)プログラムの取組が、大学の名声と魅力を高め、留学生市場から多くの留学生を惹きつけることに成功したことを明らかにできた。とりわけ非英語圏諸国の大学でトップになっているスイスのETH Turichは国際大学連携を軸とする国際化戦略が世界的大学になる最も有効な戦略であることを明言し、取り組んできている。なおTHEの調査では、世界28か国245大学の95%がすでに国際共同学位プログラムを展開していた(2018年度)。②国際共同学位の付加価値・市場価値についても、プログラムの開設時における「期待」の分析及び「実績(価値)」が調査分析されてきており、そのデータに基づいて分析を行った。③グローバル化する高等教育市場と労働市場において想定される市場価値については、優秀な留学生を惹きつける上で非英語圏諸国の大学が国際共同学位の開発・展開で成功してきたことがわかる。またEmployability(雇用可能性)についての調査研究も少なくない。しかしECの委託研究である「REDEEM2」の最終報告によると、EMJMD取得者は、通常の修士学位取得者に比して、世界各地において就職及び待遇(年俸)において比較優位であることが明らかにされた(REDEEM-Reforming Dual Degree Programmes for Employability and Enhanced Academic Cooperationコンソーシアムの研究プロジェクト).
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