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2018 年度 実施状況報告書

地域医療実習での地域診断手法の導入による地域志向性の滋養に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K02709
研究機関愛媛大学

研究代表者

川本 龍一  愛媛大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (50542908)

研究分担者 熊木 天児  愛媛大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (30594147)
二宮 大輔  愛媛大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (80773853)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード地域診断 / 多職種連携活動 / 地域志向性 / 医学生 / 地域医療実習
研究実績の概要

田舎での地域診断を含む多職種連携活動(rural interprofessional work: RIPW)は、世界中の多くの医学部で臨床実習の一環として導入されている。RIPWは、田舎での専門的活動に学生を誘導することを目的としたアプローチである。そこで、RIPWが医学生の地域医療への思いや動機を向上させうるかについて調査した。2015年4月から2016年4月までの間に愛媛大学の医学生を対象に、RIPW前のオリエンテーション中と1週間のRIPW直後に、地域医療に対する知識、態度、コミュニティへの理解、将来への動機付けについて自記式アンケート調査を行った。対象は、222人(83.1%の回答率)の医学生で構成され、男性120人、女性102名、23 ± 3歳であった。RIPW後には「今後の県内の地域医療に参加したい」という肯定的な意見が有意に上昇した(p<0.001)。RIPW後の県内の地域医療への参加動機を目的変数としたロジスティック回帰分析では、「地元出身」(オッズ比: 10.1; 95%CI: 3.62-28.29)、「親が医者である」(3.31; 1.15-9.54)、「RIPWは価値があると思う」(19.7; 1.64-236.9)、「将来は田舎で働きたい」(5.91; 1.45- 24.2)、「患者と話すのが好きである」(5.93; 1.25-28.2)が独立して有意に関連していた。一方、「他大学への入学経験」(0.10; 0.03-0.321)は、モチベーション低下と有意に関連していた。本研究は、RIPWへの短期間の曝露が医学生の知識や地域医療への態度に影響を与え、地域医療実践への意欲向上につながることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

地域診断を田舎での地域医療実習に導入することにより、実習前後における学生の地域志向性の変化を検討し学会での発表を予定している。また、田舎地域での多職種連活動と地域診断のワークショップを実施した。愛媛県との合同による夏季セミナーでは、県内各地域の行政官の講演と彼らを交えた地域診断のワークショップも開催した。以上により、研究事業はおおむね順調に進展していると考えている。
以下実施した事業
学生主体の地域診断に関する実習やワークショップ開催の支援
1.①西予市立野村病院、西予市立西予市民病院、久万高原町立病院、宇和島市立津島病院、各市町村 ②地域での多職種連携を踏まえた医療活動を学ぶ実習(平成30年5月-平成31年3月)2.①松山大学薬学部、愛媛県医療技術大学など ②第5回えひめ多職種連携ワークショップ(平成30年3月頃開催)3.①済生会今治病院 ②瀬戸内海や宇和海の離島健診を体験する実習(平成30年5月開催)4.①西予市立野村病院、久万高原町立病院、各市町村 ②西予市での夏季と春季休みを利用した地域医療体験合宿(平成30年8月・平成31年3月開催)5.①愛媛県、愛南町、西予市、大洲市など ②東・中・南予代表地域の多職種連携活動に関するワークショップ(平成30年8月)

今後の研究の推進方策

引き続き、上記活動を本年も継続し、成果をまとめていきたい。
以下本年度の実施予定の事業
学生主体の地域医療活動に関する実習やワークショップ開催の支援
1.①西予市立野村病院、西予市立西予市民病院、久万高原町立病院、宇和島市立津島病院、各市町村 ②地域で保健・医療・福祉(介護)活動を学ぶ実習(平成31年5月-平成32年3月予定)2.①愛媛大学医学部看護学科、医学部医学科 ②多職種連携ワークショップ(平成32年2月頃開催予定)3.①済生会今治病院 ②瀬戸内海や宇和海の離島健診を体験する実習(平成31年5-8月開催予定)4.①西予市立野村病院、久万高原町立病院、宇和島市立津島病院 ②西予市での夏季と春季休みを利用した地域医療体験合宿(平成31年8月・平成32年3月開催予定)5.①愛媛県、愛南町、西予市、大洲市など ②東・中・南予代表地域の地域医療に関するワークショップ(平成31年8月開催予定)6. ①愛媛大学 ②地域で活躍する医師による講演とワークショップ(平成32年2月開催予定)

次年度使用額が生じた理由

地域で保健・医療・福祉(介護)活動を学ぶ実習等への交通費として使用予定。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 特集 キャリアとして選ばれる地域病院: 卒後研修と地域病院;キャリアアップのための特色あるプログラムの提案2018

    • 著者名/発表者名
      川本龍一
    • 雑誌名

      病院

      巻: 77 ページ: 695-699

  • [学会発表] 医学生の田舎での多職種連携活動と地域医療への思いに及ぼす研究2019

    • 著者名/発表者名
      川本 龍一、二宮大輔、赤瀬太一、菊池明日香、熊木天児、 大塚伸之
    • 学会等名
      第10回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 )
  • [学会発表] 医学部1年生におけるPBLをベースとした地域医療学教育の効果および実習意欲への影響2018

    • 著者名/発表者名
      久保智香、西谷瑠乃、中川真利亜、山根未久、山本夏希、菊池 明日香、二宮大輔、熊木天児、川本龍一
    • 学会等名
      第18回日本プライマリ・ケア連合学会四国支部総会
  • [学会発表] 愛媛県中・南予地域における地域診断と教育学的効果に関する研究2018

    • 著者名/発表者名
      川本龍一
    • 学会等名
      平成30年度 地域志向教育研究支援事業
    • 招待講演
  • [学会発表] 地域社会のリーダーとは 地域で医師を育てる2018

    • 著者名/発表者名
      川本龍一
    • 学会等名
      自治医科大学顧問指導・学外卒後指導委員会合同会議
    • 招待講演
  • [学会発表] 地域医療学講座の活動報告 -愛媛大学医学部附属病院 総合診療科-2018

    • 著者名/発表者名
      川本龍一
    • 学会等名
      第8回地域医療再生セミナー

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公開日: 2019-12-27  

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