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2022 年度 実施状況報告書

教育言語の英語化という社会実験:カザフスタンに見る大学教育改革の課題

研究課題

研究課題/領域番号 18K02712
研究機関山口県立大学

研究代表者

岩野 雅子  山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (70264968)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード言語政策 / 英語教育
研究実績の概要

カザフスタンでは1991年の独立時から国の国際化に重点を置き、先に独立を果たしたウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンなどとともに急速な発展を遂げてきた。これらの中央アジア諸国の中でもカザフスタンが注目されているのは、ユーラシア大陸の中でのロシア・中国に隣接する地理的な位置、国土の大きさ、豊かな天然資源にある。さらに、旧ソ連圏の歴史的・文化的経緯のなかで生じたイデオロギーとアイデンティティの葛藤を越えて、世界を二分する政治的経済的体制の狭間で、ロシア・中国側とアメリカ・ヨーロッパ側の双方に配慮しつつ、同時にカザフ人の国としての国民国家や国民意識の醸成を図ろうとするプロセスが、ナザルバエフ大統領による長期政権のもとで約30年間にわたり比較的「安定的」に実施されてきたことにある。その一つの政策が、1997年10月に発表された「カザフスタン2030年戦略」に出された三言語一体化政策である。これは、カザフ語(国家語)、ロシア語(公用語/交流語)、英語(グローバル経済への統合言語)を三つとも使える人材としてカザフ国民を育成しようという挑戦的な政策である。
本研究は特に英語教育に関する政策に着目してきた。ところが、2019年にナザルバエフ大統領が退陣すると3言語政策は変化し、カザフ語をより重視するようになっている。その後の2022年1月の反政府大規模デモに加え、ロシアのウクライナ侵攻により、カザフスタンをはじめとする中央アジア諸国はロシアとの距離の保ち方について慎重になっている。
そこで、2022年4月に始める昨年度は、北海道大学スラブユーラシアセンターに資料収集に行った際、研究の方向性について協議を行った。また、オーストラリアに滞在中の研究協力者とメールならびにオンラインで協議を重ね、3言語政策のその後に関する論文の共同執筆を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

ロシアのウクライナ侵攻により、CIS(Commonwealth of Independent States)の国々は微妙で慎重を要する政治的立ち位置となっている。このため、これまで調査を行ってきた国立大学や国立のエリート高校等の教職員から、英語教育を含む3言語政策に関する発言が得られにくい。引き続き、海外に出たカザフスタン研究者に連絡をとり、アプローチの仕方について協議している。

今後の研究の推進方策

オーストラリアに滞在中の研究協力者と連絡をとり、共同で論文を執筆するほか、今年度の調査計画を立てる。

次年度使用額が生じた理由

現地調査、研究集会・報告会が実施できなかったため。

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公開日: 2023-12-25  

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