研究課題/領域番号 |
18K02718
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研究機関 | 福岡工業大学短期大学部 |
研究代表者 |
藤井 厚紀 福岡工業大学短期大学部, ビジネス情報学科, 准教授 (10364100)
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研究分担者 |
石橋 慶一 福岡工業大学短期大学部, ビジネス情報学科, 准教授 (00649676)
上村 英男 福岡工業大学短期大学部, 情報メディア学科, 准教授 (80708222)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 学びのユニバーサルデザイン(UDL) / 自己選択 / 選択肢 / 反転授業 / 習熟度別クラス編成 / 自律性支援 |
研究実績の概要 |
主な研究実績として以下の3点が挙げられる。 1)反転授業における学習者のニーズの多様性に対応するために、UDLの理論に基づき、複数の事前学習用コンテンツを提供する授業デザインを構築した。コンテンツの種類として、パワーポイントによる視聴コンテンツと、授業者が映る実際の授業に近い形の視聴コンテンツを準備し、授業を実践した。その結果、学生の視聴コンテンツに対するニーズは一様ではないことが示され、反転授業のコンテンツに対してUDLの枠組みが適用可能であることが考えられた。一方で、当該授業デザインにおいてもなお事前学習用コンテンツを視聴しない学生が存在した。それらの学生の内的状態や授業内活動について更に詳細に検討することが課題となった。 2)簿記・会計科目群において、自己選択を取り入れた習熟度別クラス編成を導入し、学生の選択行動やアンケート調査の分析を通してその適用可能性について検討した。当該授業は、クラスの選択は学生が自分自身で選択でき、いつでも好きな時にクラスを移動することが可能というルールのもとで行われた。授業を実施した結果、習熟度別クラスの自己選択に対する有効性や意欲の向上に関する認識を示唆する回答が認められた。しかしながら、クラスの移動を頻繁に行った学生の多くが資格取得の達成は困難であったことが示され、これらの学生に対する段階的支援のあり方について検討することが課題となった。 3)ビジネス・情報系科目において学習方法の選択の機会を提供する授業デザインを構築し、当該授業のもとで学生の自己選択の認知が自己決定意識に及ぼす影響について検討することを目的とした。第2週目・第6週目・第14週目の授業において質問紙調査を行い、共分散構造分析を実施した結果、当該授業デザイン下において、学生の自己選択の認知が自己決定意識に正の影響を及ぼす可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の3点について、当初の研究計画通りに進めることができた。 ・UDLに基づいた2つの授業実践研究について、学術論文誌に掲載された。 ・UDL授業デザインにおける学生の認識に関する質的データの取得および分析について概ね完了した。 ・外部のFD研修会においてUDL実践事例に関する報告を2回行い、意見交換の機会を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
・2019年度前半は、UDL授業デザインにおける学生の変容に関するテーマについて日本心理学会大会等で発表するとともに、学術論文の作成に着手する予定である。 ・2019年度後半は、国内外の高等教育におけるUDL実践事例のレビューを行い、その内容について学会・研修会等において報告を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた外部講師による研修会については、日程の都合により実施することができず、それに係る旅費・謝礼等の費用が発生しなかった。また、今年度に購入を計画していたデータ処理用PCは、他予算からの支出により賄ったため、トータルの使用額が減少したことが理由として挙げられる。次年度では、繰り越し分を含めた上で主に調査活動旅費、文献整理アルバイト費用および研修費用として使用する計画である。
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