研究課題/領域番号 |
18K02723
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 彰浩 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (60193471)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 私立大学 / 1950年代 / 大学経営 / 学校法人 / 高等教育政策 / 私立大学団体 |
研究実績の概要 |
本研究は1950年代の私立大学経営の実態を、個別大学データと政策環境、そして学生の進学行動の3側面から明らかにすることを目的とする。戦後占領期と高度経済成長期の間にはさまれたこの時期の私立大学に関しては、本格的な先行研究は皆無と言ってよく、またそれに関わる基本的なデータすら整理されていない。本研究はそうした空白を埋めるとともに、大拡張の時代を準備した時期とはいかなるものだったのかを、敗戦後の混乱から経済成長への社会変動期のなかに私立大学を位置づけ、さらにはこれまでの申請者による戦間期・戦時期・戦後占領期の私立大学研究に関する知見と合わせて、長いスパンで明らかにすることをめざした。 具体的には、個々の私立大学にかかわる沿革史や数量データなどの収集とともに、私立大学団体の資料、さらに政府の私立大学政策関連の資料等の収集をすすめた。加えて、私大経営の全体像をみるには、初等・中等教育機関等の設置の状況も重要になるため、それらの法人に関するデータも収集した。また学生数データに加えて教員数データの調査もおこなった。 以上のデータは、研究補助者とともに、データ入力をおこない、データベースを作成している。それらのデータの本格的な分析は今後の課題でもあるが、それら私立大学間でかなり多様な経営行動がみられるということが改めてわかってきた。 他方で、私立大学団体に関しては、さし当たりはそれらの団体が刊行する機関誌等の収集をすすめている。さらに日本私立大学連盟の機関誌の調査をおこない、各記事内容についてもデータベース化をすすめている。それら機関誌からは私立大学自体にかかわる動向のみならず、当時の政府の私立大学政策に関しても有用な情報が得られることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始当初は研究課題は順調にすすみつつあったが、2020年に入ってから、感染症の影響で遠方への出張がしにくくなった。本研究では国会図書館等の東京所在の図書館・資料館や各私立大学での調査が非常に重要であるが、出張による調査ができなかったため、資料収集が中途で止まってしまっている。また一時は、やはり感染症の影響で、研究補助の学生に作業を依頼することも難しくなり、データベース作成でも作業が中断した状態にあった。全体としてみれば、おおよそ研究機関の半分程度の期間については順調に作業がすすんだが、その後については予定していたものが必ずしも計画通りには進まなかったといわざるをえない。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度にも一部の研究経費をもちこしており、今後感染症の状況が改善に向かえば、これまでできなかった研究課題の実施をおこなう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症の広がりにより、資料調査のための出張およびアルバイト雇用が困難となったため次年度使用額が生じた。次年度(2022年度)において可能であれば資料調査のための出張およびアルバイト雇用をおこなう予定である。
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