研究課題/領域番号 |
18K02731
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
原 和久 都留文科大学, 文学部, 教授 (30808366)
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研究分担者 |
山辺 恵理子 都留文科大学, 文学部, 講師 (60612322)
市川 桂 都留文科大学, 文学部, 特任講師 (60754546)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | グローバル教育インターンシップ / 交換留学プログラム / スタディアブロード / 北欧の教育 / 教師教育の国際化 / 海外教育実習 / 異文化理解教育 / 国際理解教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、北欧から交換留学で来日する留学生、送り出し大学の教員、および国内で教育インターンを受け入れる協力校などにアンケートや聞き取り調査を行い、関係者それぞれの視点やニーズを明らかにしながら、持続可能な「グローバル教育インターンシップ」を開発することを目的としている。そのようなプログラムの開発は、交換留学生の日本理解を促すのみならず、インターンを受け入れる日本の学校教職員の異文化対応能力の向上や、児童・生徒の異文化間コミュニケーション能力の増進にも寄与するものであり、グローバル社会に対応する学校教育のあり方を考えるうえで大変重要かつ意義のある研究である。 研究の1年目となる2018年度は、パイロットプログラムとして北欧8カ国の大学の協力を得ながら本学独自の交換留学プログラム「Tsuru Study Abroad Program (T-SAP)」を開発し、その一環として教員をめざす北欧の学生を対象とする教育インターンシップを国内の小・中学校にて行った。 プログラム開発にあたっては、北欧の大学が日本へ派遣する学生に何を期待しているか調べると同時に、北欧で行われる「教育インターンシップ」に関する資料(シラバス・コースガイド等)を収集し参考にした。また、プログラムの実施に先立ち、学生を受け入れる地域の協力校と入念な打ち合わせを行い8月末の交換留学生の来日に備えた。その結果、今年度は27名の交換留学生の内、17名が教育インターンシップに取り組んだ。 また、インターンシップ開始後は留学生に対してアンケート調査を実施するなど、学生の満足度やニーズの把握に努めた。また、プログラムの修了後、受け入れ協力校の教員に対して聞き取り調査を行い、留学生受け入れ側の視点や体験を明らかにするよう努めた。これらのデータは、順次整理・分析し、次年度の教育インターンシップの改善につなげていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「グローバル教育インターンシップ」の実施・運営については、17名の北欧の留学生が参加し、受け入れ協力校からも「また来年も続けたい」という声が聞かれるなど、初年度としては大きな成果を収めた。また、実践的なプログラム開発の基礎となる調査・研究面についても、来日した留学生へのアンケート調査、インターンシップ協力校教員への聞き取り調査、および北欧大学教育へのEメールによるアンケート調査などを行い、教育プログラムの改善に向けてデータを収集することができた。全体的に見れば、研究はおおむね順調に進展している。 しかし、研究の初年度となった2018年度については、北欧8大学への本学日本人学生の送り出し(52名)と、先方の大学からの留学生の迎え入れ(27名)の準備、および交換留学プログラムの運営実務などに想定以上の時間が割かれ、また学科教員の急な休職という想定外の事態も重なり、海外への研究出張が出来なかった。このため北欧大学の教職員への対面での聞き取りや現地での資料収集については断念せざるを得ず、当初予定していた研究計画に遅れが生じてしまった。このため海外調査については計画を変更し、研究2年目となる2019年度に実施できるか関係機関と調整をしているところである。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に行った調査は、全体的な傾向を知るための「パイロット調査」と位置づけ、調査内容や調査方法を改善したうえで2年目となる今年度に改めて本格的な調査を行いたい。今年度の研究の重点項目は、以下のとおりである。 (1)1年目の2018年度に開発した教育プログラムを振り返り、その概要や開発の経緯を記録する。また、留学生・北欧の大学・国内の協力校など各方面から収集したデータをもとにその評価を行う。 (2)2018年度に収集したデータの整理・分析・評価を行い、その結果を基に2年目のプログラム開発に臨む。また、1年目に行った調査を2年目も継続して行い、グローバル教育インターンシップに係る関係者の視点やニーズについて明らかにする。 (3)北欧の大学を訪問し、現地大学の教職員等、送り出し側の視点やニーズを明らかにする。また、北欧におけるグローバル教育インターンシップの実際について現地視察を通して資料を収集する。 研究の2年目となる2019年度については、交換留学の担当となる専任教員、および教育インターンシップの運営実務を補助する特任教員を新たに大学で採用することが決まったため、より多くの時間を調査・研究に割くことができる予定である。2019年度は、前年度以上に調査・研究の体制を整え、海外での調査も実現したいと考えている。当初の研究計画からは、全体的にやや遅れてはいるが、さらに良い「グローバル教育インターンシップの開発」に向けて研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
【研究の進捗状況】の項目で説明したように、交換留学プログラムの運営実務などに想定以上の時間が割かれ、また学科教員の急な休職という想定外の事態も重なり、海外への研究出張が出来なかった。当初予定していた北欧大学の教職員への対面での聞き取りや現地での資料収集等、海外調査については計画を変更し、研究2年目となる2019年度に実施したい。
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