研究課題/領域番号 |
18K02734
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
下井 俊典 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (30364649)
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研究分担者 |
小嶋 章吾 国際医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (90317644)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多職種間教育 / IPE / 教育効果 / 専門職教育 / 学習観 |
研究実績の概要 |
国際医療福祉大学IPEカリキュラムの教育効果に対する4年間の追跡調査 国際医療福祉大学で最も早期から多職種間教育(IPE)および、その教育効果の調査を開始した、同大田原キャンパスにおいて、当該IPEプログラムの教育効果について、2022年度で入学時から4年間の縦断的追跡調査が完了した。結果として、入学当初は自職種アイデンティティ(IEPS)ならびにIPEに対する態度(RIPLS)のいずれも高値であったが、IPEプログラム開始時(2年次)には有意に低下し、学年および当該プログラムが進行するに従っていずれも向上した。以上のことから、入学からIPEプログラムが開始されるまでの間に、「学業に対するリアリティ・ショック」の存在が示唆された。しかし一方で、3年次までのIPEプログラムの教育効果をより高める必要性も示唆され、昨年度明らかとなった適切なインストラクショナル・デザインなどの検討の必要性が強調された。
学習観に関する研究 1) 研究対象であるIPEにおいて、学習者の主体的・能動的学習態度を涵養する前提として、学習者の学習観を把握する必要がある、2) 従来のIEPS、RIPLSに加 え、新しい観点から教育カリキュラムの教育効果を検討する、ことを目的として、昨2022年度に引き続いて、詰込的学習観と自律的・充実的学習観の2つの下位尺度から構成される学習観尺度を用いて理学療法学科新入生合計124名の学習観を調査した。結果として2年度とも、学習者は1) 古典的な詰込的学習感を強く有する学習者、2) 自律的・充実的な学習観を強く有する学習者、3) 2つの学習観を併有する学習者の3群に分けられること、特に3つ目の学習者群は、保健医療福祉領域に特徴的な学習観を有している可能性が示唆された。また、年度間で同様の分類ができたことから、学習観についての3分類の一般化可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
量的研究に関しては順調に推移している。対して質的研究については、新型コロナウィルス感染傾向が沈静化せず、面接調査が困難となっており、現在、保留せざるを得ない状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は当該研究の最終年度として、量的研究については、昨年度報告したキャンパス間比較、ならびに今年度完成した縦断的調査について国際誌で論文化する。投稿する具体的な論文としては、Journal of Interprofessional Care、BMC Medical Education、International Journal of Medical Education、Advances in Medical Education and Practiceを計画している。 加えて、今年度報告した学習観調査については、IPEカリキュラムにおける学生の学習観へのインパクトの調査ならびに、学生の学習観を自律的・主体的に変容させるIPEカリキュラムの構築を目的とした研究へ発展させることを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染傾向が沈静化せず、予定していた国際学会がオンライン開催となり、その発表予算として計上していた旅費が支出されなかったことと、2022年度に予定していた論文投稿が今年度となったため。2023年度については、当該旅費が発生すること、ならびに8項で前述した国際誌への論文投稿による費用支出が見込まれている。
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