国際医療福祉大学大田原キャンパスにおける3年間の階層的IPEプログラムの教育効果を検討するため、自職種アイデンティティとIPEに対する態度について、当該プログラムを履修した505名の学生を対象とし、後ろ向きコホート調査を実施した。 結果として、同プログラムの教育効果について、学習者の非等質性に依存しない一般化可能性が認められ、2・3年次のIPEプログラムが最終学年のIPEプログラムに対するレディネス形成に大きく影響していることが示唆された。この3年間の縦断調査に、入学直後の学生を対象とした測定を加えて4年間の縦断調査を実施したところ、入学からIPEプログラムが開始されるまでの間に、学業に対するリアリティ・ショックの存在が示唆された。しかし一方で、3年次までのIPEプログラムの教育効果をより高める必要性も示唆され、適切なインストラクショナル・デザインなどの検討の必要性が強調された。この知見をもとに、階層性および連続性を考慮したIPEプログラムとしてインストラクショナル・デザインを再考し、異なるキャンパス間での比較により、その再設計による教育効果を検討した。結果として、適切なインストラクショナル・デザインにより教育効果が高まることが期待できた。 さらに、IPEにおいて、学習者の主体的・能動的学習態度を涵養する前提として、学習者の学習観を把握する必要があること、新しい観点から教育カリキュラムの教育効果を検討することを目的として、学習者の学習観調査を開始した。結果として、学習者は、古典的な詰込的学習感を強く有する学習者、自律的・充実的な学習観を強く有する学習者、それら2つの学習観を併有する学習者の3群に分けられること、特に3つ目の学習者群は、保健医療福祉領域に特徴的な学習観を有している可能性と、学習観についての3分類の一般化可能性が示唆された。
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