研究課題/領域番号 |
18K02735
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
相原 総一郎 芝浦工業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30212351)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 学修行動調査 / 質保証 / 評価指標 / 教学IR / 研究大学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,大学評価における学修行動調査の社会的条件,指標と評価方法に着目し,日本の大学のための評価指標を開発すること,そして評価方法を確立することである。 平成30年度は,日本の学修行動調査(JCIRP)から主体性に着目したI-E-Oモデルと評価指標について研究成果をまとめて,九州大学に学位論文として提出した。作成した評価指標は,アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の高等教育研究所(HERI)が作成したCIRP構成概念と同等の妥当性がある指標である。I(入学前情報),E(学習環境),O(学習成果)の3つの領域に指標は作成できる。大学は,評価方法として,指標のベンチマークから自大学の特徴を可視化できる。そして,E(学習環境)へ働きかけることでO(学習成果)を改善する。ちなみに,E(学習環境)の指標は,(1)教職員支援,(2)学友関係,(3)主体的関与,(4)アクティブ・ラーニング,(5)学業の怠慢の指標を作成した。そして,O(学習成果)の指標は,(1)知識・技能,(2)人間関係,(3)現代社会の理解,(4)授業満足度,(5)大学満足度を作成した。 学修行動調査の国際比較研究に関しては,アメリカ高等教育における学修行動調査の発展についてアメリカ教育学会で発表した(於 東洋大学,10月20日)。なお、研究力への関心の高まりに応えて,アメリカの大学院教育に焦点をあてた。そして,アメリカ研究協議会(NRC)が2006年にアメリカ研究大学の博士課程大学院生に実施した調査から専門分野による大学院の教育研究の実態について、日本比較教育学会(於 東広島芸術文化ホール,6月23日),AAI-DSIR 2018(於 米子コンベンションセンター, 7月11日),日本教育社会学会(於 佛教大学,9月3日)等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は,これまでの研究成果をまとめて,日本の教育で重要視されている「主体性」に着目した評価枠組みを構築して,日本版共同IRプログラム(JCIRP)のデータから学修行動調査の評価指標を作成した。これはアメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の高等教育研究所(HERI)が作成するCIRP構成概念と同等の指標である。しかし,国際的な比較研究については,研究力と留学プログラムの効果測定に焦点を絞った指標開発に取り組んだ結果,やや遅れている。 研究計画では,学修行動調査の国際的な比較研究を進める予定であった。しかし,研究力と留学プログラムの効果測定について指標を作成する重要性が高まり,それらに焦点を絞った研究に取り組んだ。平成30年度は,研究力について,アメリカ研究大学の大学院博士課程の大学院生の調査から,大学院教育の実態を記述的に分析した。また,留学プログラムの効果測定について,OECD,アメリカのウェズリアン大学,グローバル人材育成教育学会,織田-ウォーニックの調査票を参照して,グローバル・コンピテンシーを測定する調査票を留学プログラムの担当者と共同開発した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画では学修行動調査を国際的に比較する予定であった。しかし,研究力や留学プログラムの効果測定に焦点を絞った指標開発をする重要性が高まった。 今後は,研究力について,アメリカ研究大学の大学院博士課程の大学院生の調査から,大学院生の研究生産性を規定する要因を分析する。そして,大学院での教育研究を改善する指標の開発に取り組む。アメリカ研究大学の大学院博士課程のデータは入手している。また,今年度は,アメリカの大学院教育の団体や研究者を訪問調査する予定である。 また,留学プログラムの効果測定は,留学プログラムの担当者と共同で,プログラム履修者を対象に試行調査を実施する予定である。そして,既存のTOEICの評価や学修行動調査等と紐づけた分析をする。さらに,留学生の受け入れ先との大学と共同研究も進める。 最後に,世界の主な学修行動調査(アメリカ,イギリス,オーストラリアのみならずTHE世界大学ランキング等の学生調査)を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は249円です。金額的に次年度に繰り越して,文房具等の消耗品の費用としてより効果的に利用することにしました。
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