研究課題/領域番号 |
18K02736
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
大久保 由美子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80287317)
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研究分担者 |
山内 かづ代 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (30648069)
久保 沙織 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70631943) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 入学者選抜 / 適性 / 医師 / 資質 / 評価 |
研究実績の概要 |
「よき医師」になるには、学識を修得する能力と医師としての資質や適性が求められるが、医師の資質や適性については、その教育方法および測定方法が明確でない。入学者選抜試験では学力評価だけでなく、医師への適性を判断することが必要となる。本研究は入学者選抜試験および入学後の学識の成績と資質特性を解析すること、「よき医師」となる資質特性の測定法を開発し検証することを目的としている。 2014年度から2019年度の一般入試の学科試験の結果と入学後の成績を分析したところ、入試数学の得点と入学後の成績には無相関から弱い負の相関が見られ、無相関に近くなる要因として切断効果による相関の希薄化が考えられた。一方、英語や化学の成績と1年次の成績との間には正の相関が認められた。 適性の判断に関しては2017年度から2019年度の一般入試一次試験における既存および独自の心理試験を中心にした筆記の適性試験の得点分布、同二次試験における既存の心理試験を改変した面接方式の新規適性試験の信頼性と妥当性、および一般的な面接試験との比較を行った。筆記による心理試験の結果は合否判定に影響しないが、抑うつ、孤独感、心身ストレス、社会性、援助の授受などの各特性と適性試験総得点の相関、状況判断・見通しの能力と相関が認められ、受験生全体と合格者との比較で適性の低い受験生の選別が出来ていた。一方、二次試験の面接方式の投影法による心理検査をもとにした新規適性試験は、従来の面接試験との一致度・一貫性、信頼性を検討したところ、新規の検査の収束的妥当性が示されたが、両者は受験者の適性の異なる側面を測定している可能性が示唆された。 さらに「よき医師」の評価として、卒業後の医師の評価法についてアメリカで調査を行った。ペンシルベニア州立大学、ネブラスカ大学、オハイオ州立大学、ハワイ大学にて学生および医師の評価法の情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本学の学生を対象とした個人情報の取り扱い指針の整備、研究対象者への説明と同意取得方法の確立と実施、2017年の教学IR室の設立により入学者選抜から卒後までの各種データの縦断的な統計解析が可能となった。教育心理、教育評価に精通し、心理統計学を専門とする分担研究者(久保)が新たな評価法を作成し、その信頼性と妥当性の検討を行い、評価法の改良も行った。 アメリカで収集した医学生・医師の評価法の解析に着手した。
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今後の研究の推進方策 |
2008年度から2010年度に入学した学生が受けたPersonal Qualities Assessment (PQA)による適性試験、2011年度以降に入学した学生が受けた社会的スキル尺度であるKiss 18、改定UCLA孤独感尺度、独自に開発した同僚間支援受容尺度及び同僚間支援供給尺度による適性試験と、入学後の成績データの解析を行う。学生および卒後臨床研修医に対して縦断的に実施しているプロフェッショナリズムに関する調査の解析を行う。 心理統計の専門家である分担研究者の久保が2020年3月で退職したため、今後の研究の推進には他の専門家との意見交換の機会を増やす必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であったパソコンを購入しておらず、それに伴う物品の購入をしていないため。さらに解析を行う補助員への依頼が出来ておらず、予定していた人件費を使用していないため。
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