研究課題
「よき医師」には、知識を修得し応用する能力と医師としての資質や適性が求められることから、入学者選抜試験では学力評価だけでなく医師への適性を判断することが必要となる。本研究は入学者選抜試験および入学後の学識の成績と資質特性を解析すること、「よき医師」となる資質特性の測定法を開発し検証することを目的としている。認知領域能力は筆記試験で、非認知領域能力は面接により評価されることが多いが、入学志望動機を述べさせ、その印象をもとに評価する面接が非認知領域能力評価に適するか不明である。そこで受験者の非認知領域能力評価を目的に心理評価法を用いたMultiple Mini-Interview(MMI)を導入し、2018年度に試験的にMMIトライアルを開始した。一般入試の一次試験で学力試験、適性検査、小論文を実施し、学力試験成績で選抜後の二次試験で面接を行う際、MMIトライアルを追加した。適性検査とMMIトライアルの評価は合否判定に反映されず、評価方法の検討にのみ用いた。解析結果から、学力と非認知領域能力は関連性が認められないこと、従来面接やMMIトライアルは受験者の心理特性のうち孤独感との関連を認めること、友人を援助する傾向が低い受験生ほど学力試験で高得点を取っていること、孤独感が弱い受験生ほど従来面接およびMMIトライアルで高く評価されること、従来面接では社会性スキルも影響しMMIトライアルとは異なる側面を評価していることが分かった。以上より学力試験成績を重視した入試は、協調性のような「よき医師」に必要と考えられる資質を有する受験生を選抜しにくい可能性があることが分かった。研究者の所属大学が変更となったことで縦断的な解析が出来なくなったが、異動後の大学における入学者選抜様式と入学者の能力評価を開始した。
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