本年度に実施したのは主に以下の3点である。 ①新たな政策的動きの整理:日本・中国の高等教育の動き、特に高等教育質保証、教育改善におけるIRの果たす役割およびIR人材育成の取り組みについて調べ、分析を行った。②IRの現状の把握:現地調査、また国際フォーラム出席の機会を通じて、日本、中国及びアメリカの高等教育研究者及びIRの担当者に対して、新たな取り組みについて追加調査を行った。③IR活動の主な一環として日本の大学教育・学生の学修の現状分析:「全国学生調査」及び個別大学の学生調査のデータに基づき、学生が受けた授業形態、学修時間などを中心に把握、比較を行った。また中国における「全国学生調査」の展開及び課題について、日本との比較分析も行っている ④研究成果の発表・公表:調査、分析の結果をまとめ、日本の高等教育学会年次大会で発表し、また中国で開催された高等教育国際フォーラムに招聘講演を行った。さらに日本と中国の高等教育研究者を招聘し、国際ワークショック「高等教育研究と大学マネジメント」を開催した。 上記の今年度実施した研究成果及び研究期間全体を通じて実施した研究はマクロレベルとミクロレベルでの分析を通じて、日本におけるIRはアメリカ・中国と比べ、大学教育のマネジメント、IRに期待する役割、またIR組織が取り巻く学内外の環境、位置づけ、活動の差異が明らかにし、さらに大学の教学の教育・学修の実態、およびIR活動の意義、その限界についてより明確にした。
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