研究課題/領域番号 |
18K02744
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
五島 敦子 南山大学, 教職センター, 教授 (50442223)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アメリカ高等教育 / コミュニティ・エンゲージメント / カーネギー・コミュニティ・エンゲージメント分類 / 地域連携 / 評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,大学の地域貢献を教育・研究の質的向上に結びつける方策を探究するために,アメリカ高等教育における地域連携=コミュニティ・エンゲージメントの評価体制を解明することにある。具体的には、1)事例研究を通じて地域連携の類型と特徴を解明すること、2)地域連携に関する機関評価の役割を果たしているカーネギー教育振興財団による分類枠組(カーネギー・コミュニティ・エンゲージメント分類:CCEC)の評価指標と受審体制を調査すること、3)評価結果を教育・研究の組織的改善に結びつける大学組織モデルを解明することである。 研究初年度にあたる今年度は、1)と2)を中心に、分析枠組みの検討と予備調査を行った。第一に、分析枠組の検討として、ブラウン大学スウェラー・センター、カーネギー財団等の資料、各大学の評価報告書、各種ジャーナル等を分析し、CCECが開始された背景、2020年までの評価基準の変遷、導入の意義を明らかにした。評価枠組の特徴として,大学執行部のリーダーシップ,適正な資源配分と成長戦略,アセスメントの確立,大学教職員への報奨の充実,地域との互恵的関係の構築が重視されていることが明らかとなった。この成果をまとめて論文を執筆した(大学経営政策研究)。第二に、予備調査として、2015年にCCEC再認証を受けたウィスコンシン大学マディソン校を事例として、地域連携の取り組みを分析した。継続教育部が地域の教育ニーズを把握するために戦略的なマーケティングを行い、非伝統的学生を対象とした柔軟なプログラムと学生支援体制を開発していることを明らかにした。この成果は、日本高等教育学会第21回一般発表で報告・発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、当初の計画通り、分析枠組の検討と予備調査を行うことができた。これらの成果にもとづき、2019年度訪問調査に向けて、機関評価を受審する予定の大学の中から調査対象を選定した。また、2018年1月から9月まで、東京大学大学院教育学研究科に私学研修員として研究活動を行ったことを契機に、東京大学大学院の研究者と共同研究を開始することができた。2019年1月には、ウィスコンシン大学マディソン校の教育学研究者を日本に迎えてインターンシップに関する情報交換を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、学生の地域貢献活動のひとつであるサービス・ラーニングに注目して共同研究を進める。まず、キャンパス・コンパクトの資料を活用して機関別特徴をあきらかにしたうえで、リベラル・アーツカレッジと研究大学における地域連携の在り方を比較検討する。次に、2020年CCEC機関評価の成果と課題を明らかにするために、訪問調査によりデータを収集する。CCECの申請実務を担う機関,受審を支援する組織団体やシンクタンクの調査を行い、評価の実務体制および支援方法を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は、東京大学大学院教育学研究科で私学研修員として研究活動を行ったため、東京近郊で開かれた研究会ならびに学会参加のための旅費が想定より下回った。訪米調査は実施しなかったが、その理由は、2017年度米国研究留学中に、ウィスコンシン大学ならびにカリフォルニア大学で当該部署を訪問して、予備調査のための聞き取りを実施できたためである。2019年度は、訪米調査を行うとともに、東京大学大学院の研究者との共同研究のための出張旅費が必要となるので、計画通りに執行できる予定である。
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