発達障害幼児を持つ保護者及び幼稚園、保育所等で発達障害幼児を担当する保育者に向けて、事故防止のための教育プログラムを開発し、その効果を測定し、最終的なプログラムを作成した。具体的には、以下のことを行った。 1)プログラムの実施 これまでの研究結果から作成した研修プログラムを保育者、保護者に対してそれぞれ20回実施し、受講者に対して効果を検証するとともに、改善するためのフィードバックを得た。 2)最終プログラムの作成 プログラムの内容は、「高所からの転落」「道路への飛び出し」「建物からの抜け出し」「(ドア等の)隅間への指つめ」「階段からの転落」「コンセントでの遊び」を防止することした。その理由として、これらの行為は発達障害傾向の子どもが多く行っており、大きな事故やケガにつながりかねない行為であるためである。加えて、これまでの研究結果から、これらの行為の背景に、注意視野が狭いこと、適切なボディイメージを持つことが苦手であること、衝動性が強いこと、狭い所を好むこと、危険な行動をしていてもそれがどのような結果につながるかを想像することが苦手であること、強い刺激を求めたがること、こだわりがあること等、発達障害傾向の特性が関係していることを伝えるようにした。それによって、なぜ子どもがこれらの行為をしてしまうのかの背景を保護者や保育者に理解してもらい、その背景に応じた対策をしなければ、事故の防止につながらないことに重点を置いて話すようにした。当初よりも事故やケガの種類を減らして伝えるようにした。その代わりに、子どもの行為の背景をよく理解した上で、どう子どもに指導したらよいか、環境を整備を整備したらよいのかを受講生が考えられるようにして、プログラムで紹介した行為以外にも応用できるようにした。
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