研究課題/領域番号 |
18K02762
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
内山 仁志 島根県立大学, 人間文化学部, 准教授 (60348604)
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研究分担者 |
竹内 章人 独立行政法人国立病院機構岡山医療センター(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター(臨床研究部), 新生児科医師 (40731386)
原田 浩司 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (40738168)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 低出生体重児 / 読み分け困難 / 視覚認知 / 読み書き障害 / crowding effect / flanker |
研究実績の概要 |
本研究の目的はLBW児における読み分け困難について、①様々な条件下で読み分け困難症状がどの程度生じるかを明らかにすること、そして②音読能力、視覚認知能力との関係を明らかにすることの2つである。初年度はまず、実験環境の構築と読み分け困難の程度を測定する視標の開発を行った。これは字ひとつ視標の周囲にflankerとして4つの視標を配置したものであり、その間隔によって、flankerの効果(読み分け困難度)を調整したものである。ランドルト環1個分の間隔、1/2の間隔、1/4の間隔の3段階を設定した。 また字ひとつ視標と字づまり視標、字多数視標を用いて低出生体重児4名(年齢9.3±1.4歳)、定型発達児6名(9.7±1.9歳)の読み分け困難度を測定した。その結果、低出生児群は字ひとつ視力に比べて字づまり視力が低下傾向にあり、2~3段階視力が低下する読み分け困難効果が見られたが、定型発達群では字ひとつ視力と字づまり視力に差はなく、読み分け困難効果は認められなかった。 次年度は対象数をさらに増やし統計学的な検討を行う。また視覚認知課題と音読課題結果との相関関係を明らかにするべく、解析を遂行する。さらに低出生体重児リサーチグループである豪州の研究ラボにて低出生体重児の視覚認知に関する最新の情報を得るとともに、解析したデータに関するディスカッションを行い、今後の研究について示唆を得る。さらに岡山、栃木にて低出生体重児の行動データを取得する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は職場の異動が生じたため、自身の研究環境の再構築が必要となり、それに時間を費やした。 また実験に使用する視標の開発にも時間を要したため、当初、長期休暇を利用して、栃木や岡山での実験を計画していたが、計画通りの研究遂行は難かしく、被験者に課題を遂行できた数は当初の予定人数よりも少なかったため、現状の進捗としては遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は被験者数を増やし、定型発達児と低出生体重児の読み分け困難度を統計学的に比較検証する。さらに音読課題と視覚認知課題が読み分け困難度にどのように影響するのかについても検討を行うことを目標とする。また豪州の研究施設を訪問し、すでに学童期の低出生体重児の認知機能に詳しい研究者と日本で得たデータについてディスカッションし、研究データに関する示唆を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者への分担金(50千円×2名分)は本年度については繰り越しとし、来年度以降に使用する。
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