研究課題/領域番号 |
18K02766
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
倉澤 茂樹 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (40517025)
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研究分担者 |
丹葉 寛之 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (30531652) [辞退]
大歳 太郎 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (40336483)
立山 清美 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 准教授 (70290385)
中岡 和代 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 助教 (90708017)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 作業療法 / 就学支援 / 小学校 / コンサルテーション |
研究実績の概要 |
本研究は,通常の学級に在籍する学習または行動に困難さを示す児童に対して,我々が開発した作業療法士(以下,OT)によるコンサルテーション・モデルを実践し,その有用性を検証することを目的としている.研究倫理委員会の承認および対象校の協力が早期に得られ,学校コンサルテーションについては研究計画よりも早く実践できた.その成果は学術誌「作業療法」の実践報告して,1編は掲載され(研究1),1編は受理され印刷中となっている(研究2).論文に投稿したいずれも事例も学習状況や適応行動など,学校生活全般において改善されていた.また,現在進行中である他の事例も概ね良好な介入結果を示している. 研究1:通常の学級に在籍する不器用さを呈する学習障害児に対してOTが約6ヶ月間に亘り7回学校を訪問し,保護者および教職員にコンサルテーションを実施した.保護者および教員の主訴に対し,OTは特性要因図を用い本児の状況を説明し,OTが提案する支援方法について理解を得た.結果,対象児の特性を生かした教授方法や書字しやすい教材を工夫したことによって,文字の読み書きが習得され,教科学習に対する動機の向上も認められた.家庭での問題行動はペアレント・トレーニングを実施したことで減少した. 研究2:通常の学級に在籍する問題行動を呈する児童に対してOTが約1年に亘り10回,保護者・教職員にコンサルテーションを実施した.保護者・教職員の主訴に対し,OTは特性要因図を用い本児の状況を説明し,焦点化すべき目標を協議した.さらにOTは問題行動を応用行動分析学的アプローチに基づいて機能分析を行い,具体的な対処方法を助言した.結果,学校生活において規則違反的行動・注意の問題・思考の問題などの問題行動が減少し,教室内で過ごせる時間も増加した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
4か所の小学校の協力を得ることができており,5名の児童の学校コンサルテーションを終了している.現在進行中の数事例は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,たびたび介入が休止を余儀なくされている.研究開始時より参加協力の募集をしているが,研究への参加協力が得られにくい状況が続いている.研究期間を延長し,量的研究に必要な事例数を確保していきたい.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き地方自治体の教育委員会に呼びかけ研究協力を要請していく.現在の研究フィールドは大阪府と和歌山県下の4校であるが,これらは研究分担者に引き継ぎ,研究代表者の新たな勤務地である福島市にも研究への参加協力を求める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大によって,一部の事例において学校コンサルテーションの休止を余儀なくされている.また,量的研究につなげるために,更に小学校への研究参加を呼び掛ける必要がある.研究期間を1年間延長することとした.研究費は,学校コンサルテーションに必要な機器・交通費,研究成果を発表する学会参加費や論文の校閲に使用する.
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