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2020 年度 実施状況報告書

日本手話・日本語バイリンガル児童生徒の言語運用力評価法の開発に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K02770
研究機関九州産業大学

研究代表者

阿部 敬信  九州産業大学, 人間科学部, 教授 (90580613)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード日本手話 / 日本語 / バイリンガル / 言語運用力 / 評価
研究実績の概要

本研究の目的は、日本手話・日本語バイリンガル児童生徒の言語運用力の評価法を開発するとともに、聴覚障害のある児童生徒の言語運用力を向上させための効果的な教育方法とは何かを明らかにすることにある。そのためには日本手話と日本語という二つの言語を合わせたトータルな言語運用力というとらえ方が欠かせない。このとらえ方から言語運用力を客観的に明らかにしたいと考えている。研究三年次にあたる本年度は、新型コロナウイルス感染症対策による緊急事態宣言の発出やその後の第ニ波、そして第三波の感染拡大に伴う再度の緊急事態宣言により、研究フィールドとする東京都品川区にある特別支援学校(聴覚障害)での調査がほとんどできなかった。しかし、二年次までに収集した聴覚障害教育関係者に対する聴覚障害児の言語運用力に関する質問紙調査の結果の分析及び論文作成、また、同じく二年次までに収集した日本手話・日本語バイリンガル児童14名に対するATLAN適応型言語能力検査の音韻意識検査・語彙検査・文法談話検査の結果の分析及び論文作成を行った。さらに、二度目の緊急事態宣言解除後の期間には、福岡県内中学校1校の協力により、二年次に収集した日本手話・日本語バイリンガル生徒の「地球温暖化について」の作文データの対照群として中学校第1学年及び第2学年の生徒200名以上の作文データを収集することができた。当初の令和2年度までの研究期間を1年延長したことから、残された期間で、さらなる分析に勤め、言語運用力評価の枠組みを明らかにしたい

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究三年次にあたる本年度は、新型コロナウイルス感染症対策による緊急事態宣言の発出やその後の第ニ波、そして第三波の感染拡大に伴う再度の緊急事態宣言により、研究フィールドとする東京都品川区にある特別支援学校(聴覚障害)での調査がほとんどできなかった。本来であれば、初年次に行った日本手話を母語とする教師5名の対するインタビュー調査の結果から日本手話・日本語バイリンガル児童生徒の言語運用力評価の枠組みから、その検証のための調査を東京都品川区にある日本手話・日本語バイリンガルろう教育実践校である特別支援学校(聴覚障害)で予定であったが、その期間を設定することができなかった。一方で、二年次までに収集したデータから分析を行い、その結果を論文にした。公立の特別支援学校(聴覚障害)等に通う聴覚障害児童生徒の言語運用力の枠組みについては明らかにし、オンライン学会や分担執筆著書にて発表することができた。さらに緊急事態宣言が解除されたタイミングで、所属のある福岡県内の中学校の協力を得て、対照群となる中学校第1学年及び第2学年の「地球温暖化について」の作文データを200名分以上収集することもできた。よって、進捗状況については「(3)やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

日本手話・日本語バイリンガル教育を実践している学校の中学部生徒12名を対象とした「地球温暖化について」の調査で収集した日本手話の手話文ビデオデータのトランスクリプト作成を行うとともに、その対照群である福岡県内中学校の聞こえる生徒200名分の「地球温暖化について」の作文データの分析を行う。ただし、聞こえる生徒の作文データの分析は第2学年1学級を無作為に抽出して分析の対象とする予定である。また、初年次の日本手話を母語とするろう者教師5名のインタビュー調査の結果を分析するとともに、聴覚障害教育関係者10名に行った質問紙調査の結果から明らかになった言語運用力評価の枠組みとを対象させて、日本手話・日本語バイリンガル児童生徒の言語運用力評価の枠組みを示して、日本手話・日本語バイリンガルろう教育実践校である東京都品川区の特別支援学校(聴覚障害)にて、その妥当性の検証を行う。実施時期や方法について、新型コロナウイルス感染症の拡大等を十分に勘案して検討を行いたい。なお、実施に際しては、研究対象校の指示のもと、新型コロナウイルス感染症対策を万全を期する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症対策に伴う令和2年4月及び令和3年1月の緊急事態宣言発出により、日本手話・日本語バイリンガル児童生徒の言語運用力評価の枠組みの妥当性等の検証のための調査を、研究対象校である東京都品川区の特別支援学校(聴覚障害)で実施できなかったため。我が国における日本手話・日本語バイリンガルろう教育実践校は同校が唯一であり、当初、6月、12月、2月に実施を計画していたが、先の理由により調査研究計画のすべての延期を余儀なくされたことによる。
よって、研究四年次となる次年度には、言語運用力評価の枠組みの妥当性等の検証のための調査を、研究対象校である東京都品川区の特別支援学校(聴覚障害)にて、6月、12月、2月に実施する。なお、実施にあたっては、研究対象校と協議を行いつつ、新型コロナウイルス感染症の首都圏における感染状況を熟慮し判断する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 日本手話・日本語バイリンガル児童はどのようにして日本語を読んでいるのか2021

    • 著者名/発表者名
      阿部敬信
    • 雑誌名

      人間科学

      巻: 3 ページ: 33-43

    • DOI

      10.32223/hsksu.3.0_33

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 聴覚障害児の言語運用力の評価に関する研究 -聴覚障害教育のベテラン教師は「言語運用力」をどのように評価しているのか2020

    • 著者名/発表者名
      阿部敬信・村松弘子
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第58回大会(福岡教育大学・オンライン開催)
  • [図書] 聴覚障害児童・生徒の言語運用力へのアプローチ-Good Practiceの集成をめざして2020

    • 著者名/発表者名
      高井沙織・村松弘子・藤本裕人・白井一夫・阿部敬信・小川征利他
    • 総ページ数
      96
    • 出版者
      lLaPHICY聴覚障害教育における「言語運用」を考える会
    • ISBN
      978-4-600-00517-7

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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