研究課題/領域番号 |
18K02775
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研究機関 | 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 |
研究代表者 |
滑川 典宏 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 情報・支援部, 総括研究員 (80804509)
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研究分担者 |
久保山 茂樹 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, インクルーシブ教育システム推進センター, 上席総括研究員 (50260021)
牧野 泰美 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 研修事業部, 上席総括研究員 (80249945)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中学校のことばの教室 / 初めて担当教員 / ガイドブック |
研究実績の概要 |
第一年次は、中学校のことばの教室に関係する実践報告や論文等の文献を収集した。また、学会及び各地の研究協議会、研修会等に出席し、中学校のことばの教室に関係する報告から中学校のことばの教室の実態や課題、ニーズについて情報収集した。研究協力者と収集した情報を整理・分析した。また、言語障害のある中学生に指導していることばの教室を訪問し、聞き取り調査を実施した。訪問したことばの教室の中で、積極的に言語障害のある中学生に指導をしている担当教員に研究協力を依頼した。収集した情報を研究協力者に報告し、中学校ことばの教室担当者のあり方について協議した。
第二年次は、一年次で協議した内容を参考にして以下の内容について実践事例を収集した。「中学校のことばの教室の教室経営」「保護者や在籍学級担任との連携」「関係機関連携」「進路や引継ぎ」「具体的な指導内容」等について各中学校のことばの教室を訪問し、事例を収集した。研究協力者には進捗状況に合わせて、聞き取り調査の内容や各校の中学校のことばの教室の現状と課題を報告した。三年次に向けて、初めて中学校のことばの教室を担当する教員が活用しやすい「中学校のことばの教室担当教員のガイドブック(仮)」(以下、「ガイドブック」とする。)の作成していくことを確認し、構成等の検討を行った。 第三年次には、継続して研究協力者のことばの教室を訪問し、実践事例の収集をする。実践事例を元に、「ガイドブック」を作成し、中学校のことばの教室担当教員や教育委員会等にに配布する。「ガイドブック」を活用方法を提示し、中学校のことばの教室担当教員同士が情報を共有できる「つながるネットワーク」の環境づくりをしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インターネット等で「中学校のことばの教室」「ガイドブック」「言語障害のある中学生」等のキーワードで検索し、必要な論文等の資料を収集することができた。また、各地で定期的に発行する機関誌から、言語障害のある中学生や保護者が執筆した内容から、思春期を迎えた中学生の抱える課題等について把握することができた。学会及び各地の研究協議会、研修会等では、中学校のことばの教室の担当教員から現場の現状や課題について情報収集することができた。中学校のことばの教室(北海道、千葉県、島根県、山口県)を訪問し、聞き取り調査を実施した。北海道、山口県、横浜市のことばの教室担当教員に研究協力を依頼し、中学校ことばの教室担当者のあり方について協議することができた。
研究協力者か、中学校のことばの教室の教室経営の課題や指導上の課題(「中学生としての心理面での支援」「学習面での課題」「友人関係の課題」「進路」「言語障害の不安」等)について事例報告があった。事例報告や中学校のことばの教室の実態を踏まえて、初めて中学校のことばの教室を担当する教員が活用できるガイドブックを作成していくこととした。研究協力者と「中学校のことばの教室担当教員のガイドブック(仮)」(以下、「ガイドブック」とする。)の構成等について検討を行った。 継続して研究協力者のことばの教室の実践事例を元に、研究協力者に「ガイドブック」の執筆を分担して行うことになっている。令和3年3月にガイドブックの完成を目標にし、全国の中学校のことばの教室担当教員や教育委員会等に配布する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、研究協力者から提供された実践事例について、初めて中学校のことばの教室担当教員(以下、「初担当者」とする。)が必要とする内容について優先順位をつけて、精選していく。また、研究協力者が執筆した文章について、研究分担者とともに以下の視点で校正を行う(①初担当者が、読みやすい②専門用語を極力使用しない③イラストを活用してイメージをもちやすくする等)。また、国立特別支援教育総合研究所の実施した全国調査(2020)の結果や研究成果等をコラムに掲載したり、初担当者が自分が担当することばの教室をイメージできるように書き込みができるような工夫をする。
完成した「中学校のことばの教室担当教員のガイドブック(仮)」は、全国公立学校難聴・言語障害教育研究協議会の協力を得て、全国の中学ことばの教室に発送し、初担当者の教室経営の参考になったり、地域の中で果たすべき役割を意識したりすることが期待される。また、中学校のことばの教室の担当教員の意識が高まることによって、高校通級のつなぎ役として重要な役割を果たすことが明らかになり、今後、年齢が進んだ生徒の通級による指導のあり方の解明につながる基礎研究とネットワーク作りになると考える。
最後に、研究の成果については、特殊教育学会等で発表したり、国立特別支援教育総合研究所の専門研修の講義で説明したりして、各地の指導者に情報を発信していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度に購入予定していたパソコン等について、現在、職場で使用しているパソコン等を利用することで購入を見合わせたため次年度の購入費用に充てたい。
各地の中学校のことばの教室の聞き取り調査等の訪問計画に変更が生じたために未使用となった。次年度に聞き取り調査等を計画していることから、未使用額は旅費に充てたい。
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