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2019 年度 実施状況報告書

超重症児のイニシアチブに基づく多様な学習活動のあり方に関する実践的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K02781
研究機関宇都宮大学

研究代表者

岡澤 慎一  宇都宮大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (20431695)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード超重症児 / 学習活動 / イニシアチブ / 実践研究
研究実績の概要

本研究の目的は,超重症児の多様な学習活動のあり方に関して,以下の2点を検討することであった.①超重症児のイニシアチブに基づく学習活動に関する長期間にわたる教育実践に関する映像資料を収集・蓄積し,その実相を明らかにすること,そして,②収集された教育実践資料を子どものイニシアチブの観点から検討を重ね,超重症児の学習活動を実現し促進する条件を見出すことである.第1の目的に関して,2019年4月から2020年3月の間に4名の超重症児への教育的対応の場面において収集された映像資料は以下のとおりであった.いずれの事例も常時人工呼吸器を使用しており,寝たきりの状態である.なお,昨年度報告した事例のうち,事例1および事例2への教育的対応が継続できなくなり,昨年度の事例3~事例6をここでは,以下,各々事例1~事例4に表記をあらためた.
筋疾患の先天性ミオパチーを原因疾患とする超重症児の事例1については,視線入力装置を用いた文字の見本合わせ課題などの学習に関する24セッション分の映像資料を収集した.今年度は,ヒラガナ文字言語信号系活動の多層化を意図した学習に展開した.事例2と事例3は,脊髄性筋萎縮症(SMAⅠ型)を原因疾患とする超重症児で,これまで線図形(事例2)やヒラガナ文字(事例3)の見本合わせ課題などの学習に取り組んできた.今年度は,ヒラガナ文字列と写真との対応に関する学習(事例2)や事例1と同じく,ヒラガナ文字言語信号系活動の多層化を意図した学習(事例3)に展開した.事例2については26セッション,事例3については15セッション分の映像を収集した.事例4は,学齢期の事故により重度の遷延性意識障害の状態像を呈する超重症児である.事例4について,視線入力装置を使用した描画活動とともに選択的に写真を注視すると音楽が流れる学習などに展開し,こうした10セッション分の映像資料を収集した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2019年度の研究実施計画にある目的の①超重症児のイニシアチブに基づく学習活動に関する長期間にわたる教育実践に関する映像資料を収集・蓄積し,その実相を明らかにすることに関して,該当する映像資料を75回のセッション分収集することができ,また,順次分析が進められている.また,事例1および事例3において,1スイッチで入力操作可能な電動式牽引車での移動活動による学習を実施することができた.しかしながら,目的の②収集された教育実践資料を子どものイニシアチブの観点から検討を重ね,超重症児の学習活動を実現し促進する条件を見出すことに関して,映像資料の検討・分析を加速させる必要性がある.以上より,研究の進捗状況はやや遅れているといえる.

今後の研究の推進方策

2020年度は,①2019年度に引き続き,超重症児のイニシアチブに基づく学習活動に関する教育実践を継続し映像資料の収集を重ねるとともに,②目的の2点目,収集された教育実践資料を子どものイニシアチブの観点から検討を重ね,超重症児の学習活動を実現し促進する条件を見出すことを中心として研究を進める.映像資料の分析に際しては,2020年度も研究協力者との共同による検討会を実施する予定である.

次年度使用額が生じた理由

物品のうち,教育実践の進展に応じて購入する教材が当初の見積もりよりも若干,少なく済んだため残額が発生した.2020年度の状況に応じて,教材購入に適宜使用する予定である.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 超重症児への教育的対応の視点2020

    • 著者名/発表者名
      岡澤慎一
    • 雑誌名

      育療

      巻: 66 ページ: 12-20

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 重度の知的障害と肢体不自由がある先天盲難聴児の身体接触を基盤としたやりとりにおける内的活動の諸相.2020

    • 著者名/発表者名
      岡澤慎一
    • 雑誌名

      宇都宮大学教育学部研究紀要

      巻: 70 ページ: 97-108

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Internal activity of a boy who is totally blind and hearing loss with profound intellectual and physical disabilities in mutual contact play2019

    • 著者名/発表者名
      Okazawa Shinichi
    • 学会等名
      17th DbI World Conference 2019.Pre-conference DbI Communication Network
    • 国際学会
  • [学会発表] 障害の重い子どもとの学習と対話をめぐる実践的検討(2)―対話のなかで共創的に成り立つ学習の実相に関する事実経過の集積―2019

    • 著者名/発表者名
      岡澤慎一・寺本淳志・中村保和・笹原未来・菅井裕行
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第57回大会発表論文集
  • [学会発表] 特別支援教育における実践研究のあり方―研究者はいかに実践にかかわるか―2019

    • 著者名/発表者名
      司城紀代美・岡澤慎一・楠見友輔
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第57回大会発表論文集
  • [学会発表] 先天盲ろうにおけるケースストーリー研究Ⅲ―身体接触を拒み明確な発信がほとんどみられなかった重度肢体不自由をあわせ有する先天盲ろうの子どもとの相互的「やりとり」形成の経過―2019

    • 著者名/発表者名
      中村保和・菅井裕行・岡澤慎一・阿部真由美・寺本淳志
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第57回大会発表論文集
  • [学会発表] 実践研究の成果と展望(3)2019

    • 著者名/発表者名
      小池敏英・岡典子・園山繁樹・田部絢子・小林宏明・岡澤慎一
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第57回大会発表論文集

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公開日: 2021-01-27  

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