本研究は、「医療的ケア児」についての都道府県内の実数の把握、学校における医療的ケアが困難な事例についての調査、並びに、医療的ケアにかかわる教育関係者および医療関係者への提言の3つの柱からなる。 初年度に、群馬県内における医療的ケアを要する子どもの数と居住市町村、および所属学校について調査した。就学児童・生徒(おおむね6歳以上18歳未満)については県教育委員会と協力し、また、未就学児は医療機関に対するアンケートの方法をとった。学校における医療的ケア困難事例については、県立特別支援学校における困難事例を中心にして、特に重篤な病態の医ケア児の検討を行っている。研究の2年度には、近年特に注目されつつある特別支援学校以外の一般の市町村立小中学校に入学する医療的ケア児が目立ってきていることから、「地元の一般の学校」での医療的ケアのニーズが急激に増加してきている。こうしたことから、研究3年度には、当初の研究目的には入れていなかった、「通常学校での医療的ケア」を喫緊の課題と考え調査を積極的に行うこととし、事例の収集を行った。さらに、研究の継続に伴い、学校を卒業する生徒も出てきていることから、卒業後の生活についても追跡を行う予定である。研究4年度及び研究5年度は、コロナ下の実地調査の困難はあるものの、県内特別支援学校での医療的ケア実施例及び困難例について収集を行ってきた。しかし、コロナ下での十分な活動が難しく、特に児童生徒や家族への調査については、今後も継続して研究していく予定である。また、引き続き特別支援学校及び一般校への指導助言を行い、医療的ケアにかかわる教育関係者および医療関係者への提言についてもまとめている。
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