研究課題/領域番号 |
18K02783
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
中村 保和 群馬大学, 教育学部, 准教授 (60467131)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 共創コミュニケーション / 重度・重複障害 / 盲ろう / 実践研究 |
研究実績の概要 |
種々の医療的ケアを要する先天性ミオパチーの子ども(在宅、就学前児)を対象に、定期的な教育実践を継続している。その中身は、対象児が利用可能な感覚器官への働きかけを通して共同活動の成立および展開を促し、相互的コミュニケーションの進展へと導いていく。この相互的コミュニケーションを目的とした働きかけ(共同活動)に関しては、本研究費で購入したスイッチ機器や教材・教具を用いて行っている。また、働きかけの場面をデジタルビデオカメラで記録し、共創コミュニケーション研究で採用されている微視的分析(マイクロ分析)を用いながら、インタラクションおよびコミュニケーションの生起に関わる諸条件の検討を行っている。 現時点においては、身体接触による働きかけのなかにやりとりの構造化または形式化を持ち込む二者間のやりとり(dyadic inreraction)の観点から働きかけを行い、そのことによって対象児がやりとりの展開を予期したり、やりとりの開始を期待する姿が見られ、こうした姿を「注意の共有」や「意図性の表れ」と解釈し(位置づけ)、コミュニケーション生成にまつわる重要な条件として吟味・検討している。さらに、スイッチ機器や教材を共同的に操作することを通した三項間のやりとり(triadic interaction)の観点からも働きかけを行い、そうした働きかけのなかで生じた対象児がやりとりを振り返ったりさらに要求するような動き(身振り)に着目してコミュニケーション生成にまつわる条件の吟味・検討を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた対象児2事例のうち、1名において対象児の家庭の事情等から、一時的に教育実践を中断している。 もう1名においては、当初の予定通り教育実践を継続しており、実践経過についても順調である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、教育実践が順調に進められている対象児においては、引き続き実践とその省察・分析を行い、研究課題に接近していく。現在、中断した状態にあるもう1事例においては、対象の家族との連絡・調整を進めるとともに、対象児を増やすことも念頭に入れながら、教育実践の進め方等を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度(30年)に予定していた2名の教育実践の対象児のうち1名の教育実践が事情により行えなかったため、その分の研究費(主に教材・教具費)を今年度に繰り越すことにした。今年度において、教育実践を再開し(または新たな対象児を加えることにより)、主に教育実践にかかわる教材・教具費として使用する計画である。
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