本年度の研究の成果は以下の通り。すなわち、1)これまでに蓄積された実践資料(映像資料)を共創コミュニケーションの観点から分析し、対象児との間に成立したコミュニケーションの質的変化を記述する方法を検討した。2) コロナ禍で中断していた教育実践を再開し、新たな実践資料を収集した。対象児は常時人工呼吸器を使用している超重症児(基礎疾患; 先天性ミオパチー)である。本対象児に対して共同活動を目的とした教育実践を継続しした。その際、対象児の関心に基づいたスイッチ玩具やパソコンソフトを作成し、対象児の自発的な動きが発現する活動をつくり出し、発現した対象児の動きを係わり手(筆者)が共同的に補助したり(活動の共同化)、動きの意味を言語化して返す(返信する)などして相互的コミュニケーション場面となるように働きかけた。 以上の場面を撮影したビデオ映像記録を一次資料として、共同活動の展開条件とそこでの相互的コミュニケーションの様相を構造的に明らかにすることを通して、コミュニケーション支援の方法開発のための検討を行った。
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