研究課題/領域番号 |
18K02791
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
吉岡 伸一 鳥取大学, 医学部, 教授 (00191544)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | てんかん / 高等教育機関 / 包括支援 / 大学教員 |
研究実績の概要 |
全国の7大学、12学部の教員491名を対象にてんかんの知識や経験、てんかんのある学生への関わりや意識について、アンケート調査を実施し、228名の教員から回答が得られた。 すべての教員がてんかんの名前を聞いたことがあり、178名の教員がてんかんについて学んだことがあり、うち大学(専門学校等)が139名と最も多かった。てんかん発作を目撃した教員は147名で、うち目撃した時期は大学(専門学校等)を卒業後が105名であった。また、教員になってからてんかん発作を起こした学生を見たことがある教員は50名で、発作が起こった場所は講義時間が32名と最も多かった。てんかん発作を起こした学生への対処法として、自身で学生の様子を見守ったが26名と最も多く、次いで他の教職員に連絡した22名、保健管理施設に運んだ19名、保護者に連絡した19名であった。 てんかんに関する知識として、てんかんの有病率は百人に一人と正しく回答した教員は103名であった。てんかん発作時の適切な対処法として、刺激を与えず静かに寝かせると正しく回答した教員は208名であったが、口に物を入れるという誤った回答をした教員が50名にみられた。てんかんのある学生と大学教員として関わった経験のある教員は66名であった。また、てんかんのある学生と関わることについて、心配・少し心配と回答した教員は151名で、心配な理由としては、いつ発作が起きるか分からないため不安・緊張がある93名、発作時の対処法が分からない75名であった。 高等教育機関に勤務する教員のてんかんについての基礎的知識や発作の対処は比較的十分であった。しかし、てんかんのある学生との関わりについては不安に感じ、心配する教員は多く、てんかんに関する正しい知識や適切な発作対処法を学習することが必要と思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度内にてんかんのある学生対応の実態について、高等教育機関における教員対象の調査を終え、調査結果を解析し、報告書を提出する段階にある。また、高等教育保健管理施設における調査についても、2019年度内に公益社団法人全国大学保健管理協会に加盟する506の保健管理施設を対象に調査し、204大学(206施設)から回答(回収率40.3%)が得られ、調査票のデータ入力の後にデータ分析を行う段階にある。 本研究課題で当初、2019年度までに予定していた2つの調査を終えている。2020年度に実施予定の調査を今後行う段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
高等教育機関における教員及び高等教育保健管理施設におけるてんかんのある学生対応の実態の調査結果をまとめ、令和2年度中に報告書を作成し、調査協力の得られた機関に報告書を送る。また、高等教育機関におけるてんかん発作対応のマニュアルを作成し、全国の高等教育機関に送り、高等教育機関に在学するてんかんのある学生が健全に学校生活を送るために必要とされる医療的教育や支援体制について検討する。 令和2年度中に、小・中学校・高校におけるてんかんのある児童生徒対応の実態について、鳥取県内の小・中学校・高校に在籍する 養護教諭と教師を対象に、養護教諭が保健室で対応したてんかんのある 児童生徒の実態と他の教師との連携などの課題、教師のてんかんに関する基礎知識、てんかんのある児童生徒との関わりの経験について計画通りに調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 高等教育機関における教員向けの調査票の回収率が配布数に比べて低く、また、高等教育保健管理施設向けの調査票の回収率も配布数に比べて低かったため、郵送代に掛かる費用が低くなった。また、調査票の回収が遅くなり、報告書の作成が遅れることとなった。さらに、データ入力のための要員を必要としなくなった。その結果、次年度使用額が生じる結果となった。 (使用計画) 高等教育機関における教員対象の調査結果をまとめ、また、高等教育保健管理施設における調査結果をまとめ、報告書作成や高等教育機関におけるてんかん発作対応マニュアルを作成に使用する予定である。また、報告書やマニュアルの郵送代に使用する予定である。当初の計画通り、小・中学校・高校におけるてんかんのある児童生徒対応の実態について、鳥取県内の小・中学校・高校に在籍する 養護教諭と教師を対象とした調査の郵送代に使用する予定である。令和2年度中に学会発表を予定し、また、研究打ち合わせや学術雑誌投稿のためにも使用予定である。
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