調査期間中に行った、小・中学及び高校の教員(小・中・高の教員)、大学教員のてんかんのある児童・生徒・学生に対する対応の実態と課題について、比較検討し、総括した。 小・中・高の教員は、T県内の教員358名(回収率59.7%)(小学93名、中学168名、高校97名)から、大学教員491名(回収率47.0%)から調査票が回収された。小・中・高の教員でてんかんについて学んだ者は65.1%、大学教員は78.4%で、大学教員の方が多かった。教育現場で児童・生徒のてんかん発作をみた小・中・高の教員は42.7%、大学教員は64.9%であった。小・中・高の教員は、他の教職員に連絡したが最も多く、次いで保健室に運んだで、大学教員は保健室で自身が様子を見守った、他の教職員に連絡したの順であった。てんかんのある児童・生徒・学生と関わりがあった教員は小・中・高が大学教員に比べ多かったが、関わりに心配な小・中・高の教員は81.0%で、大学教員の66.7%に比べ有意に多く、その理由として小・中・高の教員、大学教員ともに発作がいつ起こるか分からない不安や緊張が最も多かった。 てんかん発作の目撃や発作対応の経験のある教員は比較的多く、てんかんの基礎的知識や発作時の対処法などは比較的十分であったが、発作対処法の知識は十分でない教員がいた。そのため、てんかんのある児童・生徒との関わりに不安を抱え、心配する教員は多かった。小・中学・高校や大学の教員にてんかんの基礎的知識や発作対処技能の向上が求められる。また、てんかんのある児童・生徒・学生が健全な学校生活を送るため、小学校から大学までの全ての教員がてんかんに関する正しい知識を獲得し、てんかん発作に対応できるような教育環境の整備が必要なことが明らかになった。
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