自立活動については、指導の担い手が年々増加傾向にある一方で、自らが立案した個別の指導計画に不安を抱く教師や、自らが設定した指導目標・内容の不確実さから日々の授業やその他の職務に不安を抱く教師の実態が報告されている。このような現状において、全国の教育センターが実施する自立活動に関する研修内容は、特別支援学校の学習指導要領に示された自立活動の目標及び内容の解説にほぼ集約され、その背景には、教員養成のカリキュラムの現状も影響していると考えられる。特別支援学校の教員養成については、免許取得に際し、自立活動について何をどの水準まで修得させるのかを示すコアカリキュラムは存在しない。結果として、養成段階で自立活動の目標及び内容を学ぶ機会がないまま、特別支援学校の教員として赴任している現状も見受けられる。本研究の目的は以下の3点である。 ①自立活動の指導を担う教師を対象とした質的調査(新任教師の経年的変化を含む)及び量的調査(経験年数の異なる教師)を通して、「指標」の妥当性を検証し、改善を図る。 ②「指標」を踏まえて企画した研修による教師の変容に基づき研修内容及び方法の評価・改善に生かす、「指標」を活用した現職研修プログラムのPDCAシステムを提案する。 ③小学校等の教員養成における教職課程コアカリキュラムと自立活動の研修による教師の変容(②)に基づき、自立活動に関するコアカリキュラムの試案を作成する。 2018年度は、特別支援学校教師を対象とした量的調査、教職経験5年未満の教師(初任教師を含む)を対象としたインタビュー調査を実施し、自立活動の指導を担う教師が直面する課題や課題への対処、各種研修の成果等について把握した。2019年度も引き続きデータ収集と分析を継続する。
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