自立活動の指導については、自らが設定した指導目標・内容の不確実さから日々の授業やその他の職務に不安を抱く教師の実態が報告されている。一方で、特別支援学級や通級による指導の対象児童生徒の増加に伴い、自立活動の指導の場が多様化する中、センター的機能を担う特別支援学校の自立活動の指導に関する専門性を担保する教員養成-現職研修の一体化が喫緊の課題となっている。しかし、特別支援学校の教員養成については、これまで、免許取得に際し自立活動について何をどの水準まで修得させるのかを示すコアカリキュラムは存在しなかった。 本研究では、教職課程コアカリキュラムや養成大学のカリキュラムの現状を踏まえ、自立活動に関するコアカリキュラムの試案を作成するとともに、現職研修プログラムの拡充に向けて、新任期の特別支援学校教師を対象とした調査を実施し、自立活動の指導を担う教師が直面する課題や課題への対処とその経年的変化を明らかにした。 新任期の教師は、自立活動の≪指導計画における難しさや不安≫や≪指導力のなさ・不安≫を抱えていた。所属校の≪他教師等との関係や自立活動に対する考え方≫に戸惑う教師は、学びの機会を確保できず、≪自身の成長≫に関する課題にも直面していた。これらの課題に、≪他教師等に相談等≫や≪文献に学ぶ≫ことで対処し、≪子どもとの関わり方の工夫≫を図る中で、≪子どもの変容≫に手応えを覚え、<子ども理解が深まる><指導計画の立案の手続きに関する理解が深まる>等の≪自身の変容≫を実感していた。 なお、課題への対処の選択に際しては、≪他教師との関係・個別の指導計画作成システム≫や<校内研修・授業研究>等の≪研修≫が契機となっていた。行政研修を担う教育委員会や教育センターと特別支援学校が連携を図り、個別の指導計画作成システムを基盤とした研修体制を構築することが肝要であり、今後の課題である。
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