重症心身障がいのある児(以下、重症児とする)は、表出行動に著しい制限がある。そのため、言語・非言語コミュニケーション手段を用いて意図や感情を伝えることが難しい。保護者や支援者(以下、保育者とする)は、自らの働きかけが届いている、本人に快適な刺激であると確信が持てないことがある。そのために、保育者の自己効力感の低下や、おざなりな働きかけが危惧される。重症児が保育者の働きかけを受けとめているか、具体的には覚醒状態、緊張、注意・興味の様相について客観的評価があれば保育者の自己効力感は維持されると考える。本研究では、重症児および保育者と重症児の対人場面における瞬きを記録・観察する。瞬きから推察できる刺激受容の評価を保育者に情報提供し、より適切な働きかけについて協議を重ねていく。保育者や保護者と共有し、自己効力感を高める一助になることを目的とした。 特に、経年記録を行うことで、発達検査などでは把握しにくい子どもの育ちを保育者・保護者と共有することを目的とした。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行により、児童発達支援センターを訪問し瞬目の記録をすることが困難となった。研究期間の延長申請を行い記録の再開を期待していたが、新型コロナウイルス感染症は流行を繰り返し、本研究の最終年度である2022年度も児童発達支援センターを訪問することはできなかった。 研究計画にあげたことをすべて行うことは難しいが、研究期間の初期(2018年度と2019年度)に取得した瞬目記録を解析し、場面ごとの瞬目出現のありようをまとめている。
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