研究課題/領域番号 |
18K02798
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研究機関 | 福岡国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
平島 ユイ子 福岡国際医療福祉大学, 言語聴覚専攻科, 教授 (10637812)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 難聴 / 自閉症 / 自閉症を伴う難聴 / 感情理解 / 表情認知 |
研究実績の概要 |
難聴があると他者の感情の読み取りが難しいとされるが、難聴児の中には自閉症や知的ボーダーを併せ持つ場合がある。そこで、表情の読み取り能力を自閉症のある難聴児、知的にボーダーラインの難聴児、難聴児を比較した。参加者は、7人の自閉症を伴う難聴児(AHIC)、7人のボーダーラインの知的障害を伴う難聴児(BIDHIC)、20人の他障害のない難聴児(HIC)、12人の難聴のない自閉症児(語彙力は年齢相応)と30人の障害のない児童であった。参加児に2つの課題①顔-感情マッチング課題(FMタスク)と②表情フリーラベリング課題(FLタスク)を実施した。①FMタスクでは、表情認知テストを用いて32枚の基本感情の顔写真を見て感情語を選択させた。②FLタスクは、5枚の複雑な表情の絵を見て、自由に語を想起させ書かせ、感情語数を数えた。参加群の間で群間差を求めた。 結果は、①FM task:AHICは他の群より低く、中には目や口などの部分だけを見て判断するような異る方略で回答した者がいた②FL task:AHIC児の感情語数はNH よりも明らかに少なかく、HICよりも少なかった.ACもNHよりも少なかった。AC とAHICは誤った感情語の想起が見られた。BIDHICは通常児群よりも明らかに少なく、HC群よりも少なかったく、基本感情語の想起しかできなかった。以上の結果から自閉症は表情の読み取り自体に困難をきたすと考えられ、自閉症や自閉難聴児の表情の読み取りに関係したと考えられた。そのため、知的障害のある難聴児では言語力の問題が感情の想起に関係したと考えられた。 以上の結果は、31th world Congress of the International Association of Logopedics and Phoniatrics で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年春期にデータを取る予定であったがコロナ感染予防のためやや遅れが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
自閉症を伴う難聴児(自閉難聴児)と難聴のみ児の感情認知能力を求め比較してきたが、知的ボーダーの難聴児も感情認知能力が低下する事があきらかになった。難聴があると知能検査が通常の方法で行うことが難しいが、対象児の選定を厳しくする必要がある。 自閉難聴児の相手の表情への視線の向け方が特異であることが明らかになり、今後視線計測装置を用いて自閉難聴児と難聴児の視線の動きと注視点を計測する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度後半より行っていた、子どもに使用しやすい携帯型の視線計測装置の操作性が確認できたため、2020年度当初に購入するため。2020年4月納品済み。この機器を用いて対象児の視線を計測する予定である。
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