研究課題/領域番号 |
18K02799
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
池畑 美恵子 淑徳大学, 総合福祉学部, 准教授 (00616352)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 知的障害児童・生徒 / 実態把握 / 感覚と運動の高次化チェックリスト / 教材活用 / 系統的学習教授法 |
研究実績の概要 |
本研究は、知的障害児童・生徒の発達の全体性や適応状態をとらえる多面的な実態把握の指標の整備と発達段階に応じた系統的な学習教授法の検討を目的としたものである。令和4年度は、令和3年度に改訂版として整理した「感覚と運動の高次化チェックリスト2021」を再検討し、「感覚と運動の高次化チェックリスト2022」を用いて、実際に淑徳大学発達臨床研究センターに通所し定期的に療育指導を受けていた39名の児童・生徒の実態把握に活用し、さらなる内容の検討を重ねた。特に、新設した象徴化Ⅰ、Ⅱの評価項目については、代表事例を抽出し検証を行った。象徴化Ⅰ・Ⅱの評価において、文字概念と数概念の獲得状況および活用状況には個人内差、個人間差が大きく、特に数概念については更なる項目の整理が必要であると考えられた。 発達段階に応じた系統的な学習教授法については、特に該当児童の多いⅡ層に焦点を当て、3年間通所した1事例の学習展開を抽出した。3年間で計36回(36時間分)をデータとし、時間経過とともに学習展開がどのように進展していくかを一覧にして整理した。このデータを基にした、系統的な学習のあり方に関する考察は、今後の継続課題となっている。実態把握に関する公開研修会として、令和4年2月18日に第6回 障害児保育・教育実践事例報告会を開催した(会場:淑徳大学千葉キャンパス 参加者:一般19名、学生37名)。研修会の内容は次の通りである。奈良県立奈良養護学校 深田竜一氏「<今できていること>から様々な学びを深め生活に変化が出たAくん」/鳥取県立米子養護学校 山内章平氏「改めて感じた安心感の大切さ~人との信頼関係を深めることを目指した自立活動の指導~」
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
チェックリストの改訂は概ね当初目指していた内容に沿った形式で進められ、活用段階に入っているが、系統的な学習教授法の検討については、事例のデータ抽出に時間を要し、まだ1名分に留まっている状態である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、最終段階として「感覚と運動の高次化チェックリスト2022」を基に、淑徳大学発達臨床研究センター以外の特別支援学校等、幅広く実践現場の専門職による活用可能性について意見聴取を進めていきたい。また、知的障害幼児・児童の系統的な学習展開のあり方についても、複数例を提示する形でモデル化したものを提示していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費については、学会がオンライン開催となる場合が多く、計画的な使用が困難であった。 次年度は、チェックリストおよび教材と対応した系統的学習教授法の内容について、冊子化を進める。
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