研究課題/領域番号 |
18K02800
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
渡邉 雅俊 國學院大學, 人間開発学部, 教授 (40367602)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 知的障害 / 仲間との相互作用 / プランニング / 見立て描画 / 年長幼児 |
研究実績の概要 |
研究課題の①非知的障害児の分析、②知的障害児の調査と分析を実施した。 ①年長児を対象として仲間と一緒に見立て造形表現に取り組んで貰う際、援助を行う効果を検討した。対象は年長児26名であった。参加児は13組のペアに構成された。見立て描画課題をペアで制作する際に、調査者は、ペアに対して「表現方略を介した話し合いの促進」と「作品の構想についての話し合いの促進」を行った。参加児が制作した絵は、表現方略と表現内容を基準に「新奇的見立て」「典型的見立て」「単純見立て」の3種に分類された。この結果、事前個別制作では、26名の参加児のうち、「新奇的見立て」に該当する者は0名で、「典型的見立て」6名、「単純見立て」が18名であった。事後個別制作は「新奇的見立て」19名、「典型的見立て」7名であり、「単純見立て」はいなかった。後日行った般化個別制作では「新奇的見立て」19名、「典型的見立て」7名、「単純見立て」0名となった。 ②知的障害児の見立てにおけるプランニングの発達差とその要因を明らかにすることを第1の目的とした。第2の目的は、プランニングが見立ての発想にどのような影響を及ぼしているか明らかにすることであった。見立て描画課題の遂行について、知的障害児と定型発達の6歳、9歳児との比較分析を行った結果、知的障害児のプランニングの発達差は、精神年齢水準で概ね3歳程度の遅れが認められた。主たる要因は、適切な連鎖的行為を十分に考えるといった予期性の弱さにあることが示唆された。また「見立て」の発想は「物語性」と「デザイン性」から構成されると推考し、小学校中学年の水準に照らして評定した。知的障害のある児童生徒は、9歳児に比べ、「物語性」で差が認められなかった一方、「デザイン性」は低くなっていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り進んでいる。ただし、知的障害児の援助方法を検討するための、年長児の調査を追加したため、結果の分析の一部が年度内に終了しなかったことは反省点である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の3年目は、2年目の成果の研究発表を行うとともに、知的障害のある児童生徒の本調査を実施する。研究課題の中核データを収集する期間となるので、スケジュールを慎重に管理して、実行が遅れないようにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年2月~3月期に予定していた調査及び学会発表が新型コロナ感染症の感染拡大のため延期になり、それらの費用を使用できませんでした。令和2年度において、これらの研究活動を令和2年度に実施する予定です。
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