研究課題/領域番号 |
18K02805
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
堀田 千絵 関西福祉科学大学, 教育学部, 准教授 (00548117)
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研究分担者 |
加藤 久恵 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (00314518)
多鹿 秀継 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 教授 (30109368)
十一 元三 京都大学, 医学研究科, 教授 (50303764)
八田 武志 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (80030469)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 検索学習 / メタ認知 / 自閉スペクトラム症 / 学習支援法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、学習力を支える高次認知機能としてのメタ認知の早期育成が、定型発達児のみならず発達障害児の予後の適応に多大な影響を与えることに鑑み、発達障害児のメタ認知活性化を促すことのできる学習支援法を開発し、当該幼児の小学校入学後までを見据え、縦断的にその適切性を吟味することであった。検索学習は教師が教える学習に比べ「ハサミはどこか忘れた」「なぜハサミは2番目の引き出しにあるの?テープとハサミは同じ3番目の引き出しの方がいい」等のように、子ども自身が何を知り何を知らないか、疑問や問いかけ等のメタ認知を誘発する。殊に障害のある子どもは検索学習の機会が乏しい。そのような中、検索学習の導入は、個々の子どもの反応を客観的に観察評価する視点に加え、より精度の高い支援法を教師自身が習得するシステムを提供することを目的とした。具体的には、第1として、発達障害児の幼児期から児童期にかけたメタ認知活性化の評価法の開発と効果検証として、発達障害児への幼児から小学校入学までの検索学習の効果の適切性を検討するためにも、定型発達児をも対象とし、双方の就学後育成群(支援開始時期が小学1年及び2年)と就学前育成群(支援開始時期が5歳及び6歳)を設け、メタ認知育成の評価方法を作成し、その妥当性の確認とその機能が一時的か継続的効果かの縦断的検討が必要である。第2に、発達障害児における縦断的検討によるメタ認知の発達的変化過程の明示化である。種々の発達に比べ、自己意識にかかわるメタ認知が自閉症スペクトラム障害や注意欠陥多動性障害のある子どもで低いことは明らかになっているものの、幼児期からの育成の可能性や幼児期から児童期にかけてのメタ認知の縦断的な発達的変化過程について不明であり、これは将来の適応を見据えた観点からも明らかにすべき重要な課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、学習力を支える高次認知機能としてのメタ認知の早期育成が、定型発達児のみならず発達障害児の予後の適応に多大な影響を与えることに鑑み、発達障害児のメタ認知活性化を促すことのできる学習支援法を開発し、当該幼児の小学校入学後までを見据え、縦断的にその適切性を吟味することである。特に、幼児期から児童期における個人レベルのメタ認知の発達特性と幼児期からのメタ認知育成の効果を測定する:定型発達幼児のみならず、知的発達に明らかな遅れのない自閉症スペク トラム障害、注意欠陥多動性障害のある発達障害幼児のメタ認知活性化につながる可能な学習課題と学習支援法としての検索学習を取り入れた観察実験を個別に実施し、メタ認知評価基準を個々に作成する準備年度とした。以上の計画に沿い、本年度の実績について具体的には以下の2点を明確にすることを目的とした。①メタ認知活性化を促す学習支援法として、学習課題、学習方法の開発とその評価システムについての考案である。②①で開発した学習支援法を使用し学習支援法を吟味することである。この結果、検索学習法にかかわる学習課題の開発として、定型発達児並びに自閉スペクトラム症の子どもに有用な学習課題の開発を行い、それらを実際の支援場面で活用することで検証した。課題実施に際しては、改善すべき課題も明確になったが、次年度以降の学習課題の開発と縦断的検討の貴重な資料を整備した。
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今後の研究の推進方策 |
メタ認知評価基準を個々に作成する準備年度とした昨年度の成果を踏まえ、本年度は具体的には以下の2点を明確にすることを目的とした。①メタ認知活性化を促す学習支援法として、学習課題、学習方法の開発とその評価システムの精緻化と各年齢を加味した発達障害児、定型発達児への適用の汎用性を確かめることである。②①における学習支援法を使用し学習支援法の有効性について特定する。検索学習法にかかわる学習課題の開発として、定型発達児並びに自閉スペクトラム症の子どものメタ認知を高める学習支援法について要因を特定することで、それらを実際の支援場面で活用すること、並びに縦断的検討を加えることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の実施に際し、課題の開発に想定以上の時間がかかり、当初の予定していた課題に使用する物品費、並びにその成果報告、研究打ち合わせを行うための諸費用については次年度以降の使用が相応しいと考えたためである。研究費の正確な使用と適切な配分について研究進捗との兼ね合いで十分に吟味した結果、次年度使用額が本申請となったためである。
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