研究課題/領域番号 |
18K02806
|
研究機関 | 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 |
研究代表者 |
北川 貴章 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 情報・支援部, 主任研究員 (60780674)
|
研究分担者 |
安藤 隆男 筑波大学, 人間系, 教授 (20251861)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 自立活動 / 身体の動き / 若手教師 / 意思決定プロセス / 教師の力量 |
研究実績の概要 |
【研究1】特別支援学校(肢体不自由)教師の自立活動における個別指導の力量に係る現状把握(量的研究)では、質問紙調査を平成30年8月~9月に実施した。全国の特別支援学校(肢体不自由)44校の自立活動を主とする教育課程を担当する教師(小学部10名、中・高等部5名ずつ)を対象とした。40校、649名から回答を得た。回収率は83.2%だった。データについては、集計及び分析を行い、特別支援学校(肢体不自由)教師の自立活動の「身体の動き」に係る力量の現状として、●自立活動の指導における理論や技法の活用の有無●授業計画段階における教師の意識●授業実施段階における教師の意識等について把握することができた。調査結果の一部は、2018年度障害科学学会大会(平成31年3月2日開催)においてポスター発表を行った。 【研究2】自立活動の「身体の動き」に係る個別指導場面における若手教師の意思決定プロセスの特徴と対応策の分析(質的研究)を行った。平成30年11月~平成31年2月に、若手教師6名の授業を対象にデータ収集を行った。授業デザイン段階と授業実施段階とのズレに着目した意思決定場面を抽出し、教師の悩みや具体的な対応策等について語りを得た。若手教員の意思決定の特徴として、児童生徒の身体の状態を瞬時に判断し、代替え策を講じながら授業展開を修正しているケースから、ズレを感じても代替え策がなく計画通りに授業を展開せざるを得ないケース、授業デザインとのズレに気付くことが難しいケースなど多様であった。また、代替え策を講じながら授業展開を修正している事例においても、授業のポイントになる場面でのズレに気付いていないケースもあった。 研究1及び研究2を通じ、今後実施する研究3「若手教員の効果的な意思決定を促すベテラン教師介入プログラムの実証的研究」のプログラム構築に係る基礎的知見を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1及び研究2については、概ね予定通りに取り組むことができ、データを収集することができた。またデータを分析する過程で、研究3のプログラムに必要な文献収や先行研究の収集も進めており、概ね予定通りである。予算についても計画的に執行している。
|
今後の研究の推進方策 |
研究1及び研究2のデータについては、引き続き子細な分析を行い、その成果は日本特殊教育学会第57回大会での発表や査読付き学術論文として投稿予定である。 研究3の実施にあたっては、関連文献をレビューするとともに、これまでの研究知見を踏まえて、介入プログラムの開発に取り組む。 なお、当初の研究計画では、本研究の成果の国際発信を企図し、2019年9月に開催される日本特殊教育学会第57回大会において新興国の関係者を招聘した自主シンポジウムの開催を予定していた。しかし、本研究の成果の国際的発信をより明確にするために、2019年度に実施する研究3の成果を踏まえることとし、2020年度の日本特殊教育学会第58回大会において自主シンポジウムを企画することとした。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者が参加する一部学会の旅費について、本予算からの支出が不要になったことや、研究2のインタビュー調査の対象教員が、近地の学校に所属している教員であり、予定より少ない予算でデータ収集が行えたため、旅費に余剰が出た。 次年度は、研究分担者1名を新たに追加して研究を進める予定になっている。そのため、平成30年度からの繰り越し金と合わせた金額で円滑に研究が遂行できるよう、予算計画を立て直し、計画的に執行するように努める。なお、2019年度に海外から研究者を招聘して自主シンポジウムの開催を予定していたが、2020年度に延期したため、そこに係る予算が2020年度に繰り越すよう留意する。 次年度は、研究3のデザイン検討及びデータ収集に係る旅費、研究1・2の論文投稿に向けた打合せに係る旅費を中心に支出する。
|