令和5年度は、令和4年度に東京都特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会加盟校を対象に実施した調査の内容を精査した上で、特徴のある実践を行っている小、中学校(小学校4校、中学校1校)を訪問し、その実践的な詳細を調査する目的でインタビュー調査を実施した。 知的障害特別支援学級に在籍している児童生徒の交流及び共同学習では、主として技能教科が多い状況であった。通常の学級に在籍している児童生徒のペースについていけないことが課題として挙げられていた。これに対する工夫として、事前学習でその日に学習することを確認したり、事後学習でできなかったところを確認したりすることやねらいや達成の基準をその児童生徒に合わせるようにする工夫を行っている。 自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍している児童生徒の交流及び共同学習では、技能教科に加えて、児童生徒の興味関心に合わせて、算数数学や社会、理科等の教科が実施させているケースが見られた。自閉症・情緒障害特別支援学級では、知的障害特別支援に在籍している児童生徒と同様の課題に加え、グループ学習での配慮や通常の学級におけるルールの確認の必要性などが挙げられていた。これに対する工夫点として、事前指導において、気を付けることを確認したり、事後学習で授業の振り返りを行ったりするなどの工夫を行っていることが明らかになった。 これらの調査を踏まえ、東洋館出版の特別支援教育研究12月号「共生社会の実現に向けた交流及び共同学習と地域協働活動の展望」と題して交流及び共同学習の考え方の整理と今後の展望について発表を行った。 研究期間全体を通して、諸外国のインクルーシブ教育の仕組みを参考にして日本の交流及び交流学習の在り方を展望するとともに、現状における教科等の学びに焦点を当てた工夫と課題を明らかにすることができた。
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