研究実績の概要 |
最終年度は,「教員養成大学における学生の地域理解」というテーマに対して,「地域と学校教育の重要性の認識尺度(半澤・宮前・浅井,2020)」と関連を持つ要因について質問紙調査による検討をおこなった。その結果,この重要性の認識と,高校生時代までの過去に地域と学校内外で関わった経験が関連を持つことが明らかになった(半澤, 2022a)。また,「教員養成大学の学生の地域間移行」というテーマについては,大学4年生と学校教員1年目の2回にわたる縦断的な面接調査の結果から地域間移行に対する準備の不十分さがその後の移行先での不適応と関わっている可能性が示唆されたため,それを論じる論文の執筆をおこなった(半澤, 2022b)。
研究期間全体を通しては,地域理解というテーマに対して「地域と学校教育の重要性の認識尺度(半澤・宮前・浅井,2020)」を作成してそれと関連を持つ要因について検討したこと(2022b),また,地域間移動というテーマに対しては,学校から社会,すなわち学生から教師へという移行期において,その役割(学生・教師)の移行という観点だけではなく,ある地域からある地域への場の移行という観点も含みこんだ移行期支援が必要であることを明らかにした(半澤, 2020;2022b)。この2つのテーマに対して得られた知見を総合すると,地域と学校教育の協働や連携についてその重要性が指摘されている現代において,教員養成大学の学生の学びに対して「地域」という視点からのアプローチが必要であるということが示唆されると考えられる。
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