令和3年度は,前年度同様に新型コロナ禍のため学生を研究室や教室に集めて実験をすることができなかった.そのため,引き続き,オンデマンド型遠隔授業におけるノートテイキング状況を調査した.オンデマンド型遠隔授業において任意のアプリケーションを利用したノートの作成とその提出を求めて,ノートテイキングに関するアンケートを実施し,その結果,ノートアプリの使用状況は前年度同様少なく,多くの被験者が Word や PowerPoint などを利用してノートを作成することを試みたが,効率的にノートテイキングができなかったと回答していた.効率的にノートテイキング作業を行うためにはいくつかの機能の追加,修正等が必要であるとの意見が多く得られ,ノートテイキング専用のアプリの必要性が明らかになった. また,オンライン授業においては,前年度は一部の学生から,履修期間中いつでも閲覧・確認できる講義資料があるため,レポート提出による成績評価であればノートテイキングの必要性やノートの価値を見出せないとの意見があがった.そのため,今年度は,レポート作成時には閲覧不可とする対策を行った結果,ノートの価値を見出せないとの意見の割合は前年度の1/3以下に減った.このことから,ノートの価値を見出す工夫を授業に組み込むことがノートテイキングを定着させるには必要であることが明らかになった. 教科別のノートテイキングについて,こちらもコロナ禍のためにアプリの改良およびその評価実験をするには至らなかったが,各教科におけるノートテイキングアプリに必要不可欠な機能については,学生とディスカッションを進めることで有用な意見やアイデアが得られた. ノート評価に対する機械学習システムの利用の検討については,第一段階として,ノートを評価する上での評価項目(評価軸)の検討を学生とともに実施した.
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