運動課題において、できないことができるようになる過程で、学習者自身のどのような認知活動と身体動作が学習を促進あるいは阻害するのだろうか? 本研究 の目的は、新しい情報通信技術(ICT)システムの開発・活用により、初学者の練習中における、運動課題の継続時間・回数などのパフォーマンス、視線・腕の振 りなどの身体動作と、思考・感覚など口述された心身の認知内容とを時系列的に詳細に記録し、システムの支援による内省と質的分析により、その学習過程にお ける学習の促進要因と阻害要因とを明らかにすることである。本研究の学術的独自性としては、新しいICTシステムを開発・活用することで、パフォーマンス、 認知活動、身体動作という3要素の相互作用を詳細に分析可能とすることと、学習の促進と阻害という観点から、認知活動と身体動作とパフォーマンスが互いに どのように影響を与えるのかを明らかにする点である。今年度は、新型コロナウィルスによる制限のため、実験施設が利用不可能となり、当初予定していた研究が遂行できなくなった。代替措置として、これまで開発してきた、クラウド上でリアルタイムに情報を記録、共有できるシステムを、オンライン授業に活用し、半匿名化コミュニケーションによるオンライン授業の活性化の実践を行なった。その結果、匿名化により、授業内容によっては対面授業を超える学習成果が得られる可能性があることが示唆された。関連する成果の発表として、査読付き論文誌1件、国際会議発表1件、国内会議発表1件を行なった。
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