本研究では、生活課題解決能力を育成する「対話的で深い学び」になる授業研究に焦点を当て、1)ロールプレイングを導入した知識構成型ジグソー法による問題解決学習モデルの構築、2)アクティビティに応じた効果的な表現方法の整理、3)「深い学び」を測る授業分析の手法と授業改善モデルの作成を目指し、実証的に検証することを目的としている。 「1)ロールプレイングを導入した知識構成型ジグソー法による問題解決学習モデルの構築」については、家庭科教員と研究者が共同で消費生活、家族や地域福祉など様々な生活課題に対して教材を開発して、授業実践・授業分析・授業評価・授業改善を繰り返して授業研究に取り組んだ。「ロールプレイングを導入した知識構成型ジグソー法」の授業設計モデルを構築して教材開発を行った研究成果をまとめて、2021年2月に「ロールプレイングを導入した新しい家庭科授業―知識構成型ジグソー法の教材開発」の著書を刊行した。 「2)アクティビティに応じた効果的な表現方法の整理」については、高校家庭科の授業において、KJ法やすごろくゲーム、グループでの課題解決などのアクティビティに応じた効果的な表現方法を検討して、授業設計、授業実践をして、授業分析に取り組んだ。家庭科におけるアクティビティに応じた効果的な表現方法は、2019年発行の「生活課題解決能力を育成する授業デザインの実証的研究-授業評価・改善に関するモデル」の著書にまとめた。 「3)深い学びを測る授業分析の手法と授業改善モデルの作成」については、高校生における生活課題解決能力と家庭科での学びにおける実態調査を実施して分析し、論文化に取り組んだ。その研究成果が学会誌に掲載された。また、家庭科における学びを「知識・技能」「実践力・活用力」に整理して、授業との関係で深い学びを実証的に評価する指標を作成して、授業研究に用いた。
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