研究課題/領域番号 |
18K02814
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
北澤 武 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (80453033)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | STEM教育 / STEAM教育 / 情報活用能力 / 教科目標 / 教員養成 |
研究実績の概要 |
本研究は,理数系を中心とする各教科の目標と情報活用能力に着目しながらSTEM/STEAM教育の授業デザインを開発・実践・評価し,これを指導できる教員養成・研修システムを開発・評価することが目的である.具体的には,21世紀型能力を育成する教育として諸外国で実践されているSTEM/STEAM教育の実践例や研究を収集,視察,調査すること,新学習指導要領の各教科(理科,算数・数学,図画工作・美術,技術家庭,情報等)や単元目標,及び,一人一台タブレット端末環境を考慮した日本型STEM/STEAM教育の授業デザインを検討し,国内の学校で実践すること.実践したSTEM/STEAM教育の授業について,各教科・単元目標の到達度や,学習者特性,情報活用能力の観点から評価する.得られた知見から,我が国のSTEM/STEAM教育,教員養成・研修システムについて提言することを目指している. 2018年度は,国内外のSTEM/STEAM教育研究・教員養成の動向調査,実践の視察,資料収集を行ってきた.そして,現職教員のSTEM/STEAM教育に対する意識調査を行い,成果を報告した.具体的には,STEM/STEAM教育を考慮した小学校プログラミング教育や理科のものづくり単元に着目した授業実践を行うことで,Science,Technology,Engineering,Art,Mathematicsの要素について言及できることが明らかになった.この成果から,教員養成系大学に求められるSTEM/STEAM教育について検討した. さらに,公立小学校と附属中学校との共同研究を締結し,タブレット端末や協働学習支援用のアプリの設定,通信,運用,動作テスト環境の整備を行った.これにより,日本型STEM/STEAM教育の授業実践,及び,大学生の学びの環境を構築し,2019年度に向けた実践と評価を可能とした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は,国内外のSTEM/STEAM教育研究・教員養成の動向調査,実践の視察,資料収集を行ってきた.さらに,公立小学校と附属中学校との共同研究を締結し,タブレット端末や協働学習支援用のアプリの設定,通信,運用,動作テスト環境の整備を行った. 小学校では,第6学年理科エネルギーの単元でプログラミング教育の実施が必修化したことから,小学校との連携で,教員養成系大学の学部生とこの授業の開発に取り組むことで合意した.2019年度にこの実践を行い,大学生のSTEM/STEAM教育への理解度・指導に対する効力感を調査し,教員養成システムの効果を明らかにする基盤を整えた. 中学校では,環境整備による授業実践が可能であることを確認するとともに,物理分野の問題解決学習場面において,ICTを活用したSTEM/STEAM教育の可能性を見出した.これにより,2019年度では,物理分野において,2018年度に計画したSTEM/STEAM教育を実施し,大学生の参与の基,評価を行う基盤を整えた. 以上より,本研究は当初の予定通り,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は,以下の研究を行う予定である. 小学校では,第6学年理科エネルギーの単元でSTEM/STEAM教育を考慮したプログラミング教育を行う.この際,教員養成系大学の学部生が計画した授業案と,現場の教員が計画,実践した授業を比較し,差異について分析する.これにより,教員養成系大学に求められる教育内容について提言することを目指す. 中学校では,物理分野の問題解決学習場面において,ICTを活用したSTEM/STEAM教育を実践する.この際,Technology,Engineering,Art,Mathematicsの観点がどこにあり,ICT活用がどのような点で効果的であったかを情報活用能力の観点から,大学生とともに分析を行う.大学生のSTEM/STEAM教育への理解度・指導に対する効力感を調査し,教員養成システムの在り方について提言することを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
協力校における環境整備費が当初の予定よりも安価に抑えられたため,2018年度の物品費に余剰が生じた.今後,授業実践を行う際に,機器の故障やメンテナンスが必要と思われる.そのため,2019年度以降の物品費として充てることを計画している.
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