研究課題/領域番号 |
18K02819
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷 海平 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 特定助教 (20633895)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 映像製作 / 教育方法 / メソッド |
研究実績の概要 |
映像作品の完成に向けた経験を通し、学習対象への学びを深める普通教育における実践の始まりは100年ほど遡ることができる。特に1960年代より映像制作を扱った教育実践は広がりはじめ、以後、様々な目的や教育的概念を達成するために映像作品の制作を通じた学びについて数々の実践が行われてきている。しかしながら、その歴史の長さに対して、実践手法についてメソッド化の研究が積極的に取り組まれてきていない事実がある。 映像製作を用いた教育実践は、学習者が製作する作品のテーマについて調べ理解を深める歴史教育や、シナリオや演技を重視した語学教育への適応など多様な学習目的を内包しうる。そのため、これまで映像製作を用いた教育実践の研究は、社会科や国語科など教科との結びつけや、メディア・リテラシーやビジュアル・リテラシーなどの教育概念と結びつけて行われてきている。しかし、それらの実践を体系的に扱う研究は乏しく、個別の立場と事例に重点を置いた実践・研究手法が主流となっている。 本研究では、普通教育において映像制作を教育方法として用いた実践報告に対して分析を行い、検証結果から概念モデルを構築することを通じて、メソッドとして体験の構造について明らかにすることを目的とする。そのために、映像制作を用いた教育実践に関する報告書を収集し、そこから、映像製作に含まれる諸要素について分類・分析を進め、そこに現れる共通性からメソッド構築の可能性を含む事象を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、映像製作を用いた普通教育における実践報告を収集し分析し、その検証結果をもとに実践の体験の要素及び構造を明らかにすることで、メソッドとして体験の構造について明らかにすることを目的とする5ヵ年の研究である。 初年度(平成30年度)の研究はほぼ順調に達成できている。本研究を開始する前年度(平成29年度)までに収集した資料をもとに、1900年代初頭においてアメリカで実践された映像制作を通じた普通教育の実践について分析手法を確立することができた。また、その分析結果から映像制作を用いた教育実践が、劇場映画など商業的な映像制作に含まれる構成要素を簡略化したものであるという事実を明らかにするための拠り所となるデータを得ることができた。このデータは、映像制作を用いた普通教育の実践を行うために必要な要素に関する情報を含んでいることから、メソッドとして体験の構造を具体的に示しうるデータを得られたと言える。以上から、本研究は概ね順調に進展していると考えている。 しかしながら、初年度のデータはフィルムによる映像制作の報告に限定して抽出したデータであり、デジタルなど異なる媒体による実践では異なる結果が抽出される可能性があるという課題が残った。
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今後の研究の推進方策 |
初年度(平成30年度)は、ほぼ計画通りに研究を進行できていることから、残された課題に配慮しながら次年次以降も計画をもとに進める予定である。 平成31年度の研究では初年度に得られたデータから、映像制作を用いた普通教育の実践を行うために必要な要素がいかなるものであるのか具体化し、体験を構成する要素の側面からメソッドの構造を明らかにする研究を進める。また、初年度に残された課題に取り組むために、フィルムとは異なる媒体での実践との違いについて分析に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度(平成30年度)ではデータの分析手法確立と分析を中心に行ったため、次年度(平成31年度)に分析を行う実践報告の収集及び調査を十分に行うことができなかった。これにより発生した、次年度使用額は次年度に行う研究資料の収集及び調査を行うために利用する予定である。
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