研究課題/領域番号 |
18K02819
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
長谷 海平 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (20633895)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 映画 / 映像製作 / アート / メソッド / 教育方法 |
研究実績の概要 |
昨年度までは映画製作を通じた教育方法のメソッド化に向けて文献を中心とした資料調査と分析に取り組んだ。その結果、映画製作を通じた教育実践では、商業的な映画製作のワークフローを構成する分業を個別に取り出した上でそれぞれ一つの要素として扱っていること、学習体験として取り出した要素を再構成していることが明らかになった。また、複数の先行事例の間で再構成に用いられる要素が類似しており、選ばれやすい要素があることが認められた。考察の結果、それら選ばれやすい要素は教育上の有用性をもたらしている可能性が高く、本研究のメソッドを構成する上で重要であることがわかった。 本年度は映画製作を通じた教育実践について、学習効果に関する検証を進めた。その結果、一定の条件下で取り組まれた映画製作を通じた教育実践で、学習者は映画製作以外の能力を獲得している可能性が高いことが分かった。また、同種の教育実践を行う指導者のありかたに関する検証を行った結果、映画製作を通じた教育実践を行う上での必要な能力や要因、学習者との関係性を抽出することができた。 本年度は研究成果をもとにメソッドをデザインの上、実験的教育実践を行い有用性を検証する予定であったがコロナ禍の影響により、計画した通りに研究を行うことが困難な状況となった。本研究のメソッドはいわゆる対面形式の教育体験を想定していたためである。そのため、計画していた研究手法の一部を変更し、状況に即した形式で取り組むことで本研究が示すメソッドの有効性を検証することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
映画製作を通じた教育方法のメソッド化に向けて、昨年度取り組んだ先行研究の分析をもとに、さらなる考察と検証を進めた。 これまでの研究で映画製作を通じた教育実践には共通する体験の構造や学習デザインの要素が存在していることが明らかになった。本年度はそれらの要素をふまえて、学習効果に関する記述の検証を進めた。その結果、先行研究に見られる教育実践では映画製作以外の能力について向上していると考えられることが明らかになった。また、実践者のありかたに関する検証を行った結果、映画製作を通じた教育実践を行う上での必要な能力や要因、学習者との関係性もわかった。 本来であれば以上の研究結果をもとに、映画製作を通じた教育方法のメソッドをデザインし、そのメソッドをもとにした実験的教育実践を実施の上で検証する予定であった。しかしながら、2020年はCovid-19の影響により接触の多いグループワーク的な実践が難しい状況にあり、想定していた形式での研究が行えなくなった。そこで、オンラインを活用して学習環境を構築し、映画製作を通じた実験的教育実践を行った。その結果、一定の教育的効果を得られた。
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今後の研究の推進方策 |
メソッドの有用性を示すデータを得ることができたことから、次年度はそのデータの検証に取り組む。また、それら結果の論文化に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では対面形式での授業を前提とした実験的教育実践を行う必要があった。しかし、コロナ禍の影響により、予定していた実験を行うことができなかった。2020年度に実施する予定であった実験に予算が使用できなかったため、2021年度に繰り越す。そして、繰り越した予算と2021年度の予算を合わせ、本研究に必要な実験環境をオンライン上で構築・実施するために用いる。
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