文部科学省では学校教育分野、社会教育分野における情報化の推進のため様々な取組を実施しているが、歯科衛生教育ではデジタル化に対応しきれておらず活用が進んでいない。 本研究の目的は歯科衛生士教育にとって重要である歯周ポケット測定の実技習得および患者指導技術向上を中心としたアプリケーションの開発すること、授業やアクティブラーニングで使用した教育効果を検証することである。 2018年度は、歯科衛生教育に特化したアプリケーションを作製するためにアプリケーション開発を行い、歯科衛生学生に使用してもらった。アプリケーションは歯科衛生士の重要な業務である歯周ポケット測定の正確性や測定速度を記録することができ、学生が自分の技術習得を確認することができる。学生の意見を基に操作性について改善を行った。2019年度から2022年度ではアプリケーションを用いて授業を行い、その有効性を検証した。本研究での成果を第12回歯科衛生教育学会にて「iPadアプリケーションを用いた歯周ポケット測定実習の試み」として発表を行った。また、日本歯科衛生教育学会雑誌に「歯科衛生士教育におけるタブレットPCアプリケーション教材開発の試み」として論文として発表をした。2023年度には、これまでに作製した歯科衛生教育に特化したアプリケーションを用いて歯科衛生学生の大学での授業および自己学習で歯周ポケット測定を行い、技術の定着について検証した。90%の学生が本アプリケーションを用いて歯周ポケット測定を繰り返し練習したところ、技術が向上した。学生へのアンケート結果は100%の学生がアプリケーションを用いた学習は技術定着に役立つと回答した。 以上から本研究で作製した歯科衛生教育に特化したアプリケーションは授業や自己学習で使用することにより歯科衛生学生の歯周ポケット測定の技術を向上させることが示唆された。
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