研究課題/領域番号 |
18K02827
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
杉木 大輔 獨協医科大学, 医学部, 講師 (80524446)
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研究分担者 |
上笹貫 俊郎 獨協医科大学, 医学部, 助教 (10778137)
上原 克樹 獨協医科大学, 医学部, 助教 (20778112)
松島 久雄 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60285905)
鈴木 光洋 獨協医科大学, 医学部, 助教 (60778108)
五明 佐也香 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00778144)
河村 宜克 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90457309)
鈴木 達彦 獨協医科大学, 医学部, 助教 (80778142)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 学習管理システム / 救急医療 / 運動技能 / eラーニング / 研修医教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は救急医療の現場で利用できる学習管理システムを開発し、その有用性を評価することとしている。その中でも知識の獲得だけではなく、救急基本手技を効率的に習得するための教材を開発することを主眼に置くこととした。2018年度の実績を踏まえ、2019年度は学習管理システムの開発に取り組んだ。学習管理システムについては、Moodle cloudでの開発を考えていたが、熊本大学教授システム学研究センターやシステム開発を依頼したシステムエンジニアとも相談し、今回は救急基本手技トレーニングを主眼に置いているため、動画投稿や画面遷移など自由に変更が効き、システムの構成を変えることができるように学習管理システムをプログラミングし独自に開発することとした。複数回のシステムエンジニアとのミーティングを行い、開発を進めた。知識を問うコンテンツは既に作成しているため、救急基本手技を学習するためのシステムとコンテンツ開発に注力した。まず胸腔ドレーン留置についての課題分析をし、各ステップに分けた自主トレーニングを教材化した。それについて初期臨床研修医および後期研修医対象に形成的評価を行った。その結果を第47回日本救急医学会総会で「救急基本手技トレーニング用eラーニング教材の開発」として発表した。救急基本手技を独学で学習できる可能性があることが示唆された。その後システム全体の改良を続けた。2020年3月に第12回日本医療教授システム学会で「救急基本手技トレーニング用学習管理システムの開発」で、形が整ってきた学習管理システム自体について発表予定であったがCOVID19の影響で開催延期となった。今年度発表予定である。 現在所属施設で運用している初期臨床研修医用救急医療学習eラーニングのコンテンツの見直しを適宜行っており、それらを学習管理システムに掲載しやすいよう変更した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は基本となる学習管理システムを独自開発し、進めることができた。しかし学習管理システムの骨格を作り上げるまで予想以上に多くの時間を要した。また指導医が自由にコンテンツを追加することや修正することができるように管理者サイトも並行して構築したが、そのことも影響した。当初の目標であった救急基本手技トレーニングのプロトタイプに対する形成的評価を実施することができたので、コンテンツ構成が明確になり、不必要な部分やユーザビリティに配慮した作りに修正できた。動画を配信、投稿するなどの仕組みには医療現場で実施するには環境の整備が十分でなく、学習者が所有するスマートフォンでプロトタイプを動かしてみると不具合が多く見られた。特に各自のスマートフォンは必ずしも新しいものだけではなく、画面も小さく、こちらの予想よりもユーザ側への配慮が足りなかった。学習効果を高めながらも、魅力的で快適に使える学習管理システムを目指して開発を続けていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
救急医療の現場で必要な学習管理システムの要素として、①eラーニング教材の目的は救急医療に対するレディネス形成と救急医療業務の遂行とする、②知識の習得を問うために事前テストと事後テストを設置する、③不足している知識に対するコンテンツは救急研修で最低限必要な項目とする、④知識やスキルを自己評価できる仕組みを入れる、⑤グループウェアのような掲示板機能を持たせディスカッションの場を設ける、⑥連絡やお知らせツールを設ける、⑦職場で活用しているツールやプロトコルを掲載する場を作る、⑧振り返りができる機能を設ける、を研究開始時に掲げていたが、それらを盛り込んだ学習管理システムを開発しているが、2020年度前半にはおおよそ出来上がる予定である。それらに加え、本研究では救急基本手技もトレーニングできるようなコンテンツも取り入れる予定である。これまで取り組んできたプロトタイプの要素を精緻化し、超音波ガイド下中心静脈穿刺、気管切開といったテーマについても作成する予定である。これらについて課題分析し、手順に応じた動画や資料を作成する予定である。同時に学習管理システム全体も認知的ウォークスルーなどユーザビリティテストを繰り返しながら、年度前半には運用できる形のシステムとして出来上がる予定である。年度の後半には他大学での救命救急センターでも形成的評価を予定し、結果を集計する。その成果については学会や論文などで発表することを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
学習管理システム開発費についてはシステムエンジニアの協力により当初の予算よりも低い支出で進めることができた。そのため助成金に余裕が出た。また手技の動画作成は業者に委託することを予定していたが、学習管理システムのプロトタイプには動画のクオリティを上げるよりもどのような形態の動画が適切かを判断するため自作した。学習者からのフィードバックにより必要な要素が同定できてきたため今年度はこちらで撮影した動画の編集作業を外部に発注する予定であり、その費用に充当したい。年度末に他大学の研究協力者との打ち合わせを考えていたがCOVID19の影響により実現できず、旅費の予算分は使用しなかった。
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