研究課題/領域番号 |
18K02828
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
辻村 泰寛 日本工業大学, 先進工学部, 教授 (80240977)
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研究分担者 |
山地 秀美 日本工業大学, 先進工学部, 教授 (20327018)
粂野 文洋 日本工業大学, 先進工学部, 教授 (50442512)
大橋 裕太郎 日本工業大学, 先進工学部, 准教授 (60722361)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 地域連携 / 社会実装 / プロジェクト型学習 / 質的評価 / 仮説探索型調査 |
研究実績の概要 |
2018年度は、提携先と協働し持続可能な社会実装型PBLの成功要件について調査を行った。仮説探索型アプローチをとった。具体的には、新規立ち上げの連携先である①特別支援学校、②プログラミング教育を実施する小学校と③それに協力をして頂く高齢者の方々を対象とした。 ①の特別支援学校については、これまで協力しながら研究を進めてきた特別支援学校教諭で構成されたグループ(彩特ICT/AC.labo)を対象とした。新規プロジェクトを立ち上げるに際して、仮説探索型アプローチにより特別支援学校側の共通的なメリットに基づいてプロジェクト成功要件を調査した。結果を論文にまとめ、学術誌に掲載された(工学教育、66巻、3号、pp.3_67-3_72、2018)。 ②の小学校の先生方に関しては、2020年度より始まる小学校でのプログラミング教育の必修化に向けて我々が開催している小学生向けプログラミング講座に参加して頂き、小学生と一緒にプログラミング体験をして頂いた後にプログラミング教育の導入の方法と課題にについて仮説探索型調査を実施した。結果を国際学会(IEEE TALE 2018)で発表した。 ③に関しては、我々の大学が位置する埼玉県の宮代町役場と連携して、小学校のプログラミング教育を小学校の先生方と共に地元の高齢者の方々にご担当いただく仕組みを構築している。そのために高齢者向けのプログラミング教室を開催し、講師育成を行っている。この仕組みの重要なポイントの1つに高齢者の方々の参加意識の醸成がある。ここでは、講座に参加して頂いた高齢者の方々を対象として、どのような事柄が高齢者の参加意識を向上するのかを仮説探索型調査で明らかに、論文にまとめて学術誌に投稿した。 概ね今年度の目的は達成できたと考える。特別支援学校との連携に関しては、本学と工業高校の三者連携も新たに開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、提携先と協働し持続可能な社会実装型PBLの成功要件について調査を行うことを目的とした。新規立上げのプロジェクトがあったので、目的に鑑み、今年度の調査対象とした。そのため、調査方法としては仮説探索型アプローチをとった。研究が順調に進展した理由としては、既に15年以上、社会実装型PBLを運用してきた経験があるため、仮説探索型調査において立案した仮説がおおむね正しかったところにある。当然、新規立上げであるため、立案した仮説のすべてが正しかったわけではないが、十分に持続可能な社会実装型PBLの成功要件を求めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策であるが、最終的な目的は「持続可能な地域連携による社会実装型PBLの企画・運用方法論の確立」であることから、2018年度に立ち上げた新規プロジェクトに対し、得られた成功要件の検証を進めたい。また、成功要件をこれまで進めてきたプロジェクトの状況と比較して、汎用性についても検証をしたい。 2018年度では多くのテキスト・音声・画像データ等を得られた。2018年度内で必要な分析を実施したが、さらに分析を深めることで別の新たな知見が得られる可能性があるので、2019年度は一層の分析を進める。また、それと並行して、2018年度の実践と調査結果を踏まえペダゴジカルパターンを構築し、利用可能な形に整理する。なお、ペダゴジカルパターンは、教育活動に必要となる要件(トピック、成果、ツール)や参加者(学習者、チュータ、教員)の役割、教育内容を明確にし、想定される時間とともに表形式で詳細に記述したものである。 本研究での十分な実践と検証に基づいてペダゴジカルパターンを構築できれば、実践者同士がその内容を評価・応用・改善することで、本研究の最終的な目的を達成できると考える。これにより、高いレベルでの教育の質の維持・向上が期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年12月に参加した国際学会「IEEE 2018 International Conferece on Teaching, Assessment, and Learning for Engineering (TALE 2018)」の参加費を予算計上していなかった費用を支出ことが原因である。2019年度に関しては8月にカナダで開催される「2019 International Computing Education Research Conference (ICER 2019)」での発表を予定している。また、現在、論文2件を投稿中であるので、これらの費用を勘案して、他の使用計画を適切に進める。 物品費として37万円を計上した。開発中のシステムを評価するために、システム用ノートPCは予定通り購入をした。当初は市販の視覚センサカメラでは性能的に不足していたので自作を予定していたが、新しく販売された製品は十分な性能を有していると考えられるので、現在はその導入を検討している。そのため、資格センサ製作に関わる費用は発生しなかった。
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備考 |
我々のこの取組みにより、情報処理学会主催の「2018年情報システム教育コンテスト」(ISECON 2018) において優秀賞を頂くことができた。
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