本研究の目的は医学生が内視鏡外科手術手技トレーニングを行う上で自発的かつ継続的に履修する魅力的な自習用のプログラムを開発・評価することである。初年度(2018年度)においては学生の自習へのモチベーションを増加させるタスクを抽出することと、それを組み合わせたプログラムを作成、実際に学生に自習させプログラムを評価する予定であったが、本研究のゴールである「自発的に」かつ「継続的に」実習を行う学生が少なかったため初年度後半からはプログラムの修正と自習を促す介入を行い、昨年度(2019年度)からの自習の活性化による研究の充実を図る予定であった。しかし今年度(2020年度)当初からの新型コロナウイルス感染症の影響により学生の実習が中止となってしまい、内視鏡外科simulatorを用いた自習を行うことが不可能になった。したがって最終年度の自習はゼロであり新規のデータを得ることが出来なかった。これまでのデータから出した最終年度の結論を以下に挙げる。 ①自習回数が少ない段階では高難度のタスクより低難度のタスクの方が学生のモチベーションを上げる。②学生の自習を進ませるためには教官側からの介入を行う必要がある。しかしその効果は限定的であった。③セッティングが容易であるタスクの方が学生は自習に入りやすく評価も高い。④自習のみではなく随時のフィードバックを求める学生がおり、指導方法と評価方法を備えたプログラムが求められていた。④学生たちには様々なdutyがあり、自習当初のモチベーションを維持・継続させていくのは非常に困難であった。 これらの結果をまとめて第82回日本臨床外科学会総会(2020年10月29~31日、大阪国際会議場)にて報告した。
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