本研究では、問題発見型グループ学習において、対話と議論による意見形成の結果を成果物とする学習活動を記録し自己や他者による学習評価することを支援するシステムの構築にある。 特に、問題発見型グループ学習の中でもワークショップ形式の活動を典型例として、システムの適用を考えた。このような活動でよく用いられる大判模造紙と付箋紙に対し、利用状況と発言の関係を確認するために、ビデオ映像とARマーカーを用いて学習活動を記録するシステムを開発した。また、その記録データを閲覧し意見形成の過程と結果を評価を可能にするためのシステムを開発した。 本年度は、成果物や意見形成過程を評価する際に必要な記録データの指標化に取り組んだ。ビデオ映像やARマーカーによって学習活動の場を数値データとして表すことができるようになったが、その中で学習の評価として適切な場面を表すものは一部しかない。そこで、昨年度に実施したハッカソンによって得られた情報を詳細に分析した。その結果、意見形成過程において評価者が注目する場面には6つの特徴に分類できることが分かった。これらの特徴は、評価者にとって意味のある参加者の行動に対し、システムによって記録された付箋紙の位置などの数値データについて意味的な特徴を検討したものである。 これらの特徴に基づいて、注目すべき場面らしさを算出するため、記録データから具体的に数量的指標になるような計算手法を検討した。この計算手法を記録データの閲覧と評価のシステムとして実装した。
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